質問(対数微分)

● ケインズ ●

 沖縄市在 の 照屋 吉一 様から質問のメールを頂きました。
  

 経済学を学んでいたら


 「いま、小麦の価値を貨幣単位で表すと、小麦価格x小麦量になります。
 この値の変化率を数学的に書くと、以下に示す対数微分と言われるもので与えられます。

 (小麦価格x小麦量)の微小単位時間あたり変化÷(小麦価格x小麦量)
 =小麦価格の微小単位時間あたり変化÷小麦価格+小麦量の微小単位時間あたり変化÷小麦量

 右辺の第1項が小麦価格の変化率、第2項が小麦(実質)利子率です。」


 の説明がでたのですが 、
 小林先生の「これ以上やさしくかけない微分積分」や  「大人の高校数学」 を読んだのですが
 対数微分がわからず困っております。

 対数微分とはどういうものでしょうか。
 よろしくお願いいたします。

 さっそく返事をお送りしたら、この話は「ケインズの小麦利子率」だということです。

 ケインズですか〜!

 さすがに聞いたことのある名前ですが、ではどんな人かと言われると・・・・・・!?


 で、さっそく本題(?)に入らせていただきます。

 じつは、「対数微分」は高校でも「数学V」で扱うのです。

 その「数学V」ですが、高校でも理系しかやらないのが普通です。

 そこで、ページ数の関係で入れなかったというのが実情です。

 照屋様にもお伝えしましたが、

理系だけでなく文系でも「対数微分」が必要な方が多ければ

きっと出版社も、そのような本の企画に意欲的になるだろうと思われます。


 では、お送りした返事を載せさせていただきます。

 とはいっても、ありふれた計算にすぎませんが・・・・・・。

 対数微分というのは、 両辺の対数をとって、それを微分するというものです。
 その前に、基礎知識として

  y=logf(x) を微分すると y’=f’(x)/f(x) 

となることを使います。 これは公式として覚えるのが普通です。


 時間 : t
 価値 : z(t)
 価格 : x(t)
  量  : y(t)

 とすると、小麦の価値を貨幣単位で表すと、小麦価格x小麦量   ということは、
  z(t)= x(t) × y(t)

 これの両辺の対数をとります。 (ちなみに z(t)、x(t)、y(t)は正です)
  「大人の高校数学」にあったように、「真数のかけ算」は「対数のたし算」になります。

 logz(t)=log{ x(t) × y(t) }  ・・・ 「真数のかけ算」
 logz(t)=logx(t)  logy(t}  ・・・ 「対数のたし算」

 ここで、両辺を微分します。 このとき、先ほどの公式を用います。

  z’(t)/z(t)=x’(t)/x(t) + y’(t)/y(t)

 左辺のz’(t)/z(t)は、 z(t)= x(t) × y(t) であることを考慮すれば

 (小麦価格x小麦量)の微小単位時間あたり変化÷(小麦価格x小麦量)

に相当します。

 右辺のx’(t)/x(t) + y’(t)/y(t)は

 小麦価格の微小単位時間あたり変化÷小麦価格+小麦量の微小単位時間あたり変化÷小麦量

 に相当します。


それにしても、経済学で対数微分を扱うことを 今回初めて知りました。

 照屋様、貴重な情報どうもありがとうございました。


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