0.999・・・=1

● 小数を2進法で ●

 さて、今回は小数のお勉強をしましょう。

  えっ、小数ぐらい知ってるって?
 0.999・・・=1 だって知ってるよって?

 (知らない人は、このホームページの
 <Q&A>の「1と0.999・・・どちらが大きい」を読んでね。
 それから <お勉強>の「1000−1」をまだ読んでいない人は、
 そちらを先にみてね。)

 まだまだ、続きがあるのです。

 さて、 0.999 をもう一度ふりかえってみましょう。

     0.999 は 

                                     1 
       0.1 つまり  10  を 9つ と

                                       1 
       0.01 つまり  100 を 9つ と

                                          1 
       0.001 つまり  1000 を 9つ を

 あわせた数です。 すなわち、

            9        9         9  
   0.999  10     100     1000

 では、2進法で 0.111 といったらどんな数でしょうか。
(これを 
(0.111)2 とかくことにします。)

 それには、10 を  でおきかえます。

     (0.111)2 

           1 
           2  を 1つ と

           1 
           4  を 1つ と

           1 
           8  を 1つ を

 あわせた数です。つまり、

                1       1        1 
    (0.111)   2      4      8

 これは10進法ではどんな数か、続けて計算しておきましょう。

                 4       2        1 
               8      8      8

               7 
               8 

            = 0.875

 2進法で (0.111)2 は 10進法で 0.875 です。

 

 さて、いよいよこんなことを考えてみましょう。
 10進法で次のことは、2進法ではどんなことかな?

     0.999・・・=1

 くりかえします。 
 これの2進法版はどうなるでしょう?

 「1000−1」で、こんなことをやりました。
 10進法で あと 1 で 10 になる数は  です。
 そして、2進法で あと 1 で 2 になる数は  でした。
 ですから、こんなことになります。

     (0.111・・・)=1

 これは10進法になおすと、次のようになります。

          

 


● 2進法から10進法へ(整数) ●

 このさい、2進数についてもっとお勉強してみましょう。

 まずは、2進法で表された数を10進法で表すことからやります。

 こんなふうに考えましょう。

 2進法のコンピュータ社会のお金を、10進法の人間社会のお金に、
両替(りょうがえ)するのです。

 ためしに、( 円 を両替してみます。
 まず、コンピュータ社会で 全部1円玉にくずしてしまいます。

     1円玉 が 個 と
     2円玉 が 個 と
     4円玉 が 個 と
     8円玉 が 個 と
    16円玉 が 個 とでは  全部 1円玉 にすると 21個 です。

 まず、このコンピュータ社会の 1円玉 21個 を
 人間社会の 1円玉 21個 に両替します。
 (もちろんどちらの1円玉も 数学社会 では 同じ 1 です。)

 この 1円玉 21個 を 今度は人間社会で大きなお金にかえていきます。
 1円玉 21個 のうち 20個 を 10円玉 2個 にかえると

     1円玉 が 1個 と
    10円玉 が 2個 になり もちろん 21円 です。

 コンピュータ社会の ( 円は、人間社会の (21)10 円 です。

 まとめてみましょう。

   1円                    ( このことを 20 
   2円                    ( このことを 21 
   4円  は 2×2              このことを 22 
   8円  は 2×2×2            このことを 23 
  16円  は 2×2×2×2         このことを 24 

 そして、10進法の1の位、10の位、100の位 などは、
2進法では次のようなことです。

  2 で  のところは  1の位 (0の位)
           のところは  2の位 (
1の位)
                のところは  4の位 (2の位)
           のところは  8の位 (
3の位)
           のところは 16の位 (
4の位)

 この書き方で、もう一度計算しておきましょう。

 (×4 + ×3 + ×2 + ×2 + ×1
      =×16+ ×8 + ×4 + ×2 + ×1
      = 16 +  0  +  4  +  0  +  1
      = 21

 


● 10進法から2進法へ(整数) ●

 次に、10進法で表された数を2進法で表してみましょう。

 また、こんなふうに考えます。

 10進法の人間社会のお金を、2進法のコンピュータ社会のお金に、
両替(りょうがえ)するのです。

 ためしに、(21)10 円 を両替してみます。
 まず、人間社会で 全部1円玉にくずしてしまいます。

     1円玉 が 1個 と
    10円玉 が 2個 とでは  全部 1円玉 にすると 21個 です。

 まず、この人間社会の 1円玉 21個 を
 コンピュータ社会の 1円玉 21個 に両替します。
 (もちろんどちらの1円玉も 数学社会 では 同じ 1 です。)

 この 1円玉 21個 を 今度はコンピュータ社会で大きなお金にかえていくのです。

 さあ、銀行屋さん(両替屋さん)ごっこです!

 まず、1円玉 21個 を 2円玉 にかえます。
   1円玉 2個 につき 2円玉 1個 にかえます。

     21÷2=10 あまり 1  これを  2 ) 21 
                                10 ・・・

 1円玉 20個 は 2円玉 10個 にかえられます。
 でも あまった 1個 は 1円玉のままです。
 ですから、1円玉 は 個 とわかります。

 つぎに、2円玉 10個 を 4円玉 にかえます。
   2円玉 2個 につき 4円玉 1個 にかえます。

     10÷2=5 あまり   これを  2 ) 10 
                                5 ・・・

 2円玉 10個 は 4円玉 5個 にかえられます。
 そして、2円玉 は あまりませんでした。
 ですから、2円玉 は 個 とわかります。

 つぎに、4円玉 5個 を 8円玉 にかえます。
   4円玉 2個 につき 8円玉 1個 にかえます。

     5÷2=2 あまり   これを  2 )  5 
                               2 ・・・

 4円玉 4個 は 8円玉 2個 にかえられます。
 でも あまった 1個 は 4円玉のままです。
 ですから、4円玉 は 個 とわかります。

 つぎに、8円玉 2個 を 16円玉 にかえます。
   8円玉 2個 につき 16円玉 1個 にかえます。

     2÷2=1 あまり   これを  2 )  2 
                                ・・・

 8円玉 2個 は 16円玉 個 にかえられます。
 そして、8円玉 は あまりませんでした。
 ですから、8円玉 は 個 とわかりました。

 けっきょく、 1円玉 
           2円玉 
           4円玉 
           8円玉 
          16円玉 
 とかえられました。

 いままでの計算は、次のように続けてやっていきます。

      2 ) 21 
       2 ) 10 ・・・ 
      2 )  5 ・・・ 
      2 )  2 ・・・ 
            ・・・ 

 人間社会の (21)10 円は、コンピュータ社会の ( 円 です。

 


● 2進法から10進法へ(小数) ●

 さて、いよいよ小数です。

 むかしは、1円 より小さいお金があったようですが、
さすがのわたしも使ったことはありません。

 でも、お金ってとってもわかりやすいので、
このさいですから、頭の中で作ってしまいましょう。

 人間社会では、次のようなお金を作ります。

      1 
      10  円玉 これは 10個 で 1円 です。

      1                    1 
     100  円玉 これは 10個 で 10 円 です。

       1                      1  
     1000  円玉 これは 10個 で 100 円 です。

 同じようにして、コンピュータ社会では、次のようなお金を作ります。

      1 
       2  円玉 これは 2個 で 1円 です。

      1                  1 
      4  円玉 これは 2個 で   2 円 です。

       1                   1  
       8  円玉 これは 2個 で  円 です。

 これで、じゅんびができました。

 さっそく、2進法で表された小数を10進法で表すことからやります。

 またまた、こんなふうに考えましょう。

 2進法のコンピュータ社会のお金を、10進法の人間社会のお金に、
両替(りょうがえ)するのです。

 ためしに、(0. 円 を両替してみます。

                                
    (0.   2      4      8

                4       0        1 
                8      8      8

                5 
               8 

            = 0.625

  コンピュータ社会の (0. 円は、人間社会の (0.625)10 円 です。

 


● 10進法から2進法へ(小数) ●

 いよいよ、10進法で表された小数を2進法で表すことをやります。

 こんなふうに考えましょう。

 2進法のコンピュータ社会のお金を、10進法の人間社会のお金に、
両替(りょうがえ)するのです。

 ためしに、(0.625)10 円 を両替してみます。

 一見、さっきの逆をすればいいと思ってしまいます。

                 625 
    (0.625)10   1000 

                5 
               8

                4+0+1 
                 8

               4       0        1 
               8      8      8

                                
                2      4      8

 一見めでたく、人間社会の (0.625)10 円は、
コンピュータ社会の (0. 円 です、となりそうですね。

 ところが、そうはとんやがおろさないのです。

 たとえば、(0.2)10 円 を両替してみましよう。

              2 
    (0.2)10   10 

              1 
             5

 にっちもさっちもいかなくなりますね。

 そこで、気分もあらたに (0.625)10 円 の両替からもう一度やってみます。

 10進数 の場合は

     1円玉 は 何枚?
    10円玉 は 何枚?
   100円玉 は 何枚?

と数えねばならずめんどうでしたが、2進数の場合はどのお札(玉)も

   0枚 それとも 1枚

と数えるだけですからかんたんです。

 さあ、あるかな(0枚) それとも ないかな(1枚)?

                  1 
 まず 0.625円 で    2  円玉 はありそうです。

  1 
   2  円玉  は 2個 で 1円 でしたが、
 
0.625円 は 2倍 して 1円 をオーバーするからです。

     0.625 × 2 = .25

                = +0.25

                    1 
 ここで、+0.25 の  は  2  円玉 の枚数です。

 0.25 は のこりのお金の2倍です。

                   1 
 次に のこりのお金に     4  円玉 はなさそうです。

  1 
   4  円玉  は 4個 で 1円 でしたが、
 
0.25円 は すでに 2倍 してありますから
もう 2倍してみますが  それでも 1円 にたりないからです。

     0.25 × 2 = .5

               = +0.5

                    1 
 ここで、+0.5 の  は   4  円玉 の枚数です。

 0.5 は のこりのお金の4倍です。

                   1 
 次に のこりのお金に     8  円玉 はありそうです。

  1 
   8  円玉  は 8個 で 1円 でしたが、
 
0.5円 は すでに 4倍 してありますから
もう 2倍してみると  ちょうど 1円 になります。

     0.5 × 2 = 

            1 
 ここで、  は   8  円玉 の枚数です。

 これで、もうお金はのこっていず、全部両替されました。

 ● もう一度ふりかえってみましょう。

   0.625
 ×)    2
   .250
    0.25
 ×)    2
    .50
    0.5
 ×)   2
    .0

 人間社会の (0.625)10 円は、コンピュータ社会の (0. 円 です。

 

 さて、問題の (0.2)10 円 を両替してみましよう。

                1 
 まず 0.2円 で    2  円玉 はなさそうです。

  1 
   2  円玉  は 2個 で 1円 でしたが、
 
0.2円 は 2倍 しても 1円 にたりないからです。

     0.2 × 2 = .4

              = +0.4

                   1 
 ここで、+0.4 の  は  2  円玉 の枚数です。

 0.4 は のこりのお金の2倍です。

                   1 
 次に のこりのお金に     4  円玉 もやっぱりなさそうです。

  1 
   4  円玉  は 4個 で 1円 でしたが、
 
0.4円 は すでに 2倍 してありますから
もう 2倍してみますが  それでも 1円 にたりないからです。

     0.4 × 2 = .8

              = +0.8

                    1 
 ここで、+0.8 の  は   4  円玉 の枚数です。

 0.8 は のこりのお金の4倍です。

                   1 
 次に のこりのお金に     8  円玉 はありそうです。

  1 
   8  円玉  は 8個 で 1円 でしたが、
 
0.8円 は すでに 4倍 してありますから
もう 2倍してみると  今度は 1円 をオーバーします。

     0.8 × 2 = 、6

              = +0.6

            1 
 ここで、  は   8  円玉 の枚数です。

                   1 
 次に のこりのお金に    16  円玉 はありそうです。

  1 
  16  円玉  は 16個 で 1円 でしたが、
 
0.6円 は すでに 8倍 してありますから
もう 2倍してみると  今度も 1円 をオーバーします。

     0.6 × 2 = 、2

              = +0.2

            1 
 ここで、  は   16  円玉 の枚数です。 

 さて、のこりのお金の16倍は 最初の 0.2 です。
  ここから、おなじことのくりかえしになります。

 ● もう一度ふりかえってみましょう。

    0.2
 ×)   2
    .4
    0.4
 ×)   2
    .8
    0.8
 ×)   2
    .6
    0.6
 ×)   2
    .2

  つまり、人間社会の (0.2)10 円は、
コンピュータ社会の (0.・・・) 円 になります。

 


● 循環小数 ●

 もしかしたら、

  (0.2)10 = (0.・・・)

と、(2進数版)循環小数(じゅんかんしょうすう)になったことを、
ぐうぜんと思っていませんか。

 では、2進数でわり算をやってみましょう。

                 625 
    (0.625)10   1000 

                5 
               8

                (101) 
               (1000)

 ここから、わり算をします。

              0.
     1000 ) 101
            1000
              1000
              1000
                 0

 したがって (0.625)10 = (0.

 さて、問題の循環小数になる方をやりましょう。

                2 
      (0.2)10   10 

                1 
               5

                (1) 
              (101)

 これも、ここからわり算をします。

            0.
      101 ) .0000
              101
               110
               101
                 

 ここで ÷101 になりましたから、ここから同じことのくりかえしです。

 数を2進法であらわしても、あまりは割る数より小さいのですから
5(101) より小さい数の、 0(0)、1(1)、2(10)、3(11)、4(100)
のどれかになります。
 それでいつかは同じあまりがでてきて、そこから同じことのくりかえしとなります。
 こういうわけで、循環するのです。

 したがって (0.2)10 = (0.・・・)

 


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