4次元

● 超立方体 ●

 下の図を見てください。

 あらっ、ステキなモザイクもよう!
 もしかしたら、ダイヤモンドのカット図かしら・・・。

 じつは、これは4次元の立方体(を平面にかいたもの)なのです。
 (色をつけない方が、それらしく見えますよ。)

 4次元の立方体は、
超立方体(ちょうりっぽうたい)とか正8胞体(ほうたい)と
いわれています。

 でも、いきなりこんなものが4次元の立方体といわれても
・・・こまってしまいますね。

 そこで、話をいったん0次元にもどしてから、
じゅんに次元を上げて、みていくことにしましょう。

 


● 次元 ●

 4次元というと、なんとなくミステリアス。
 まるで、SFみたい・・・。
 そんな気持ちにザバーッと水をぶっかけるような話に
ならないといいのですが・・・。

< 0次元 >

 まずは、0次元です。
 点です。

     

 何もいうことはありません。

< 1次元 >

 次は、1次元です。
 直線です。

 1次元の立方体って・・・?

 0次元の点を、スーッと(べつの次元に1だけ)もちあげると、
線分ができます。

     

 これを、1次元の立方体(?)ということにしましょう。

 

< 2次元 >

 次は、2次元です。
 平面です。

 2次元の立方体って・・・?

 1次元の線分を、スーッと(べつの次元に1だけ)もちあげると、
正方形ができます。

     

 これを、2次元の立方体(じつは正方形)ということにしましょう。

 

< 3次元 >

 次は、3次元です。
 空間です。

 3次元の立方体って・・・?

 2次元の正方形を、スーッと(べつの次元に1だけ)もちあげると、
立方体ができます。

     

 これは、3次元の立方体(これが本当の立方体)です。

 

< 4次元 >

 次は、いよいよ4次元です。
 4次元空間です。

 4次元の立方体って・・・?

 3次元の立方体を、スーッと(べつの次元に1だけ)もちあげると、
(4次元なんて、どこにもちあげていいのやら・・・)
4次元の立方体(超立方体)ができるはずです。

 

     

 

 これを、4次元の立方体、つまり超立方体ということにしましょう。
 (色のつけ方ひとつで、ずいぶんとちがって見えるものですね。
 ほかに、いくつ立方体が見えますか?
 ちゃんと8個みえますか?
 正8胞体っていうからには8個なくっちゃ〜ねっ!)

 


● 単体 ●

 さて、なにごとでもそうですが、
いきなりむずかしいことをやっても、うまくいきません。

 頂点や辺や面の個数をかぞえるのだってそうです。

 まずは、もっとかんたんな場合からやってみましょう。

 立方体より、もっと頂点や辺や面の個数が少ないもの・・・

 そうです!

 正方形でなくって・・・三角形!
 立方体でなくって・・・四面体!

 さあ、かぞえましょう!かぞえましょう!!

< 0次元 >

 まずは、0次元です。
 点です。

 0次元では、正方形も三角形もあったものではありませんね。




頂点があらわれる。   
 
 頂
 点

 

< 1次元 >

 次は、1次元です。
 直線です。

 1次元の三角形って・・・?

 0次元の点をつまんで、(べつの次元に)もちあげると、
線分ができます。

 1次元でも、やっぱり正方形とおなじです。

新しい頂点がつくわわり
頂点の個数は 1+=2

があらわれる。

< 2次元 >

 次は、2次元です。
 平面です。

 2次元の三角形って・・・ふつうの三角形ですよね。

 1次元の線分をつまんで、ゴムひものように(べつの次元に)もちあげると、
三角形ができます。

新しい頂点がつくわわり
頂点の個数は 2+=3

辺の個数はもとの頂点とむすんだだけふえ
1+2=3

があらわれる。

 

< 3次元 >

 次は、3次元です。
 空間です。

 3次元の三角形って・・・四面体ですよね。

 2次元の三角形をつまんで、ゴムまくのように(べつの次元に)もちあげると、
四面体ができます。

新しい頂点がつくわわり
頂点の個数は 3+=4

辺の個数はもとの頂点とむすんだだけふえ
3+3=6

面はもとの辺の個数だけふえ
1+3=4

があらわれる。

 ちなみに(ほう)というのは、四面体のなかみ(?)です。

 

< 4次元 >

 次は、いよいよ4次元です。
 4次元空間です。

 4次元の四面体って・・・?

 3次元の四面体をつまんで、アメーバのように(べつの次元に)もちあげると、
4次元の超四面体(5胞体)ができるはずです。

新しい頂点がつくわわり
頂点の個数は 4+=5

あとも同じように(?)
辺の個数はもとの頂点の個数だけふえ
6+4=10

面の個数はもとの辺の個数だけふえ
4+6=10

胞の個数はもとの面の個数だけふえ
1+4=5

があらわれる。

 この4次元の超四面体は、胞が5個なので5胞体とよばれています。
 4次元であらわれる ? は何とよばれているのかって?
 (知っている人はメールください!)

 まずこれで、(4次元の)5胞体の頂点・辺・面・胞の個数がわかりました。

 じつは、3次元では正多面体があったように、
4次元では正多胞体というのがあります。

 そのなかに、正5胞体というのがちゃんとありまして、

     正5胞体 ・・・ 頂点(5個)、辺(10個)、面(10個)、胞(5個)

となっています。

 


● パスカルの三角形 ●

 この表をみてください。

 

 あら、どこかで見たような・・・

 そうです!このホームページでも、一度やりましたね。

 パスカルの三角形です。

 そこでは、パスカルの三角形の数は
2項定理
で出てくる数だよ・・・ってこともやりました。

 こんなことでしたね。

  (a+b) = a + 

  (a+b) =  + ab +  

  (a+b) =  + b  + ab +  

  (a+b) =  + b +  + ab +  

  (a+b) =  + b + 10 + 10 + ab +  

 ここで、a=b=1にすると、

     1 =  
     
2 = +2+1 
     
 = +3+3+
     
4 = +4+6+4+1 
     
5 = +5+10+10+5+1 

のようになります。

 これは、0次元、1次元、2次元、3次元、4次元の
三角形や四面体や超四面体のようなものの
頂点、辺、面、胞の個数とをあわせると2の何乗かになるって式ですね。

 でも、こんな式はぜんぜん有名ではありません。

 どうして有名にならないかって?

 三角形でなくって四角形にしたら・・・
 四面体でなくって立方体にしたら・・・
頂点も辺も面も胞も、もっともっと多くなってしまうからです。

 三角形や四面体だけの式なんて、有名になりっこありません。

 ところがです。

 2項定理で、a=1、b=−1にするとどうでしょう。

     0 =  
     0 = −2+ 
     0 = −3+3−
     0 = −4+6−4+ 
     0 = −5+10−10+5− 

 これは、1次元、2次元、3次元、4次元の
三角形や四面体や超四面体のようなものの
頂点、辺、面、胞の数とをたしたりひいたりすると0になるって式ですね。

 こっちは有名です。
 どうして有名になったかって?

 これを、こんなふうに書きなおしてみるのです。

 0次元 なら 0=
 1次元 なら 0=−(頂点)+
 2次元 なら 0=−(頂点)+(辺)−
 3次元 なら 0=−(頂点)+(辺)−(面)+
 4次元 なら 0=−(頂点)+(辺)−(面)+(胞)−

 さらに、この式をてきとうになおすと、次のようになります。

 0次元 なら どれも同じで、何もいうことなし!
 1次元 なら どれも同じで、(頂点)=2
 2次元 なら (頂点)=(辺)
 3次元 なら (頂点)−(辺)+(面)=2
 4次元 なら (頂点)−(辺)+(面)−(胞)=0

 さて、こっちの方は、どうして有名になれたかってことでしたね。

 もちろん、それは
 三角形でなくって四角形にしたら・・・
 四面体でなくって立方体にしたら・・・
頂点も辺も面も胞も、もっともっと多くなってしまうけれど、
今度はひき算もあるから・・・
プラス・マイナス 0 となって、うまくいくからなんですね。

 もちろん、「うきわ」のように「あな」があいているものはダメですよ。

 さて、本当にプラス・マイナス 0 になるかというお話は、
(いつもながら)また今度ということにしましょう。

 


● オイラーの多面体定理 ●

 有名なのは、とくに3次元の場合です。
 (アインシュタインが何と言おうと、この世は3次元だから(?)
 4次元の<じく>を時間にとるなんて・・・)

 3次元 なら (頂点)−(辺)+(面)=2 でしたね。

 これには、名前までついているのです。
 発見者にちなんで、オイラーの多面体定理って言うのです。

 さあ〜て、いよいよ前回の「正多面体」でやりのこしたことをやりましょう。

 こんなことでした。

     

 正12面体で、1つの頂点のまわりに、
正5角形を3枚使って作っていったら何枚でできるか・・・
ということは、ちょっとおいておいて、
とりあえず12枚でできたということから話をはじめてしまいました。

 そこで今回は、何枚でできるかってところを考えるのです。

 もちろん、このオイラーの多面体定理をつかってみるのです。

 まず、正5角形の面の枚数を x とします。

 すると、頂点の個数は 5x ではなくって、5x/3 です。

     

 また、辺の個数は 5x ではなくって、5x/2 です。

 

     

 これを、 (頂点)−(辺)+(面)=2 に入れます。

       5x    5x
      ---- − ---- + x = 2
       3     2

      10x − 15x + 6x = 12

                   x = 12

 ということで、できるとしたら12枚ってことで、
けっきょく、12枚で作ってみるハメに・・・(?)
 (あのペンタグラムは、いったい何だったの・・・)

 


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