フラクタル次元

● 次元 ●

 「4次元」というと、まるでSF小説のようで大人気です。

 だったら、「分数や小数の次元」ともなると、
もっともっと人気がでてきそうです。

 まあ、ねらったわけでもないでしょうが、
そんな次元を考えて大人気となった(?)数学者がいたのですから、
世界は広いですね〜。

 

 まずは、ふつうの(?)次元をふりかえってみます。

 1次元からです。

 

倍に拡大すると
(長さを倍にすると)、
もとの図形がつできます。

  

この図形は次元と考えよう!

 うん、いいですね。

 

倍に拡大すると
(長さを倍にすると)、
もとの図形がつできます。

  

この図形は次元と考えよう!

 なかなか、いいですね。

 

倍に拡大すると
(長さを倍にすると)、
もとの図形がつできます。

  

この図形は次元と考えよう!

 またまた、いいですね。

 


● フラクタル次元 ●

 1次元より小さい次元も、
こんなふうにすれば考えられます。

倍に拡大すると
(長さを倍にすると)、
もとの図形がつできます。

  

この図形は次元と考えよう!

 もちろん、もとの図形も拡大(かくだい)した図形も、
ず〜っと穴(あな)をあけていってできた図形のつもりです。

 つまり、前回とりあげた「ガスケット」ですね。

 さて、

         

 のにあてはまる数は何でしょう。

 高校生なら、「指数・対数」のところでお勉強したので、
わかりますよね。

 中学生でも、何回か「かけ算」した数ということで

         

         

         16

         64

のように、かけ算した回数が整数(せいすう)ならわかりますよね。

 じつは、

     2×3 

のような指数法則がなりたつように、分数まで広げてお約束するのです。

         

         

         2x

 

ということで、

           2x

           1/2

と約束するのです。

 けっきょく、こんなおもしろい次元の考え方をすると
1/2
次元(0.5次元)となることがわかりました。

 もちろん、次元というものはこんなふうに考えなくっちゃいけない・・・
なんていう話ではありませんよ。

 あくまでも、こんな考え方もできるということです。

 

 


● ガスケット ●

 前回の「ガスケット」で、シェルピンスキー・ガスケット

 

倍に拡大すると
(長さを倍にすると)、
もとの図形がつできます。

  

この図形は次元と考えよう!

は高校で習いますよ。)

 

さらに上の三角形もとりのぞいたものを考えました。

倍に拡大すると
(長さを倍にすると)、
もとの図形がつできます。

  

この図形は1次元と考えよう!

 そして、あとの方の図形は、どんどん直線(線分)に近づいて行きそうだな〜
というところで終わってしまいました。

 でも、この次元の考え方では、ちゃ〜んと1次元ということになって、
なかなかうまい考え方だな〜って思いますよね。

 

 


● 1.5次元 ●

 さきほどは、1/2次元(0.5次元)というのをやりましたから、
今度は3/2次元(1.5次元)というのをやりましょう。

 ぎゃくに考えて、

           3/2

           2x

         2x

         

         

 ですから、倍に拡大すると(長さを倍にすると)、
もとの図形がつできるようにしましょう

 「ガスケット」なら、こんなふうにすればいいですね。

 たてを見ると、ふつうの次元
よこを見ると、さっきの1/2次元(0.5次元)というものです。

 これを、ず〜っとくりかえしたものは、

     1/23/2 次元

となります。

 

 さて、「ガスケット」はぬきとって、つまりへらして考えましたが、
はんたいに、ふやして考えてみましょう。

 ふやすといっても・・・

 そう、直線なら平面にはみだしてくるってことになります。

 ですから、倍に拡大すると (長さを倍にすると)、
もとの図形がつできるようにするには・・・

 たとえば、こんなふうなものを考えます。

 そして、あの「コッホ曲線」は、
このふやした方の曲線です。

 あの「コッホの雪片」は、
こんな「コッホ曲線」でかこまれていましたね。

 

 

 

 これは、倍に拡大すると (長さを倍にすると)、
もとの図形がつできますから・・・

         

となるような次元です。(は高校で習いますよ。)

 

 


● ペアノ曲線 ●

 さいごに、平面を1本の直線でうめつくした
ペアノ曲線」をみてみましょう。

 

 

 

 これは、倍に拡大すると (長さを倍にすると)、
もとの図形がつできていますから・・・

         

 ほら、ちゃ〜んと次元となりますね。

 

 


● おわりに ●

 ここまできたら、次は5/2次元(2.5次元)だ〜
といいたいところですが・・・

 図をかくのがたいへんなので(?)、やめにしましょう。

 立方体に穴(あな)をあけていって作る
「ガスケット」なら、かんたんですね。

 立体の表面をつきだしていく方は、いかがでしょうか。

 でも、5/2次元(2.5次元)にはこだわることもないですね。

 それでは、「夏休みの作品」にすてきな図形を作ってみてください。

 

 


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