エラトステネスのふるい

● 素数の個数 ●

  2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,・・・・・・・・・・

 素数(そすう)はいったいどれくらいあるのでしょうか。
 (素数って何か知らない人は<お勉強>の「素数と素因数分解」を見てね。)

 じつは、無限に多くあることが古くから知られています。

 こんなふうに考えるのです。

 もし、有限個しかなかったとしたら、一番大きい素数をPとしましょう。 

   2,3,5,・・・ ,P

 以上が、小さいじゅんにならべたすべての素数です。

 さて、それら全部をかけて1をたした数をAとします。
   A=2×3×5×・・・×P+1

 こうしてできた数は合成数のはずですね。
 だって、一番大きい素数のPより大きいのですから。

 合成数ですから、2,3,5,・・・ ,Pのどれかの素数でわりきれるはずです。
 ところが、

    A÷2=3×5×・・・×P あまり 1
    A÷3=2×5×・・・×P あまり 1
    A÷5=2×3×・・・×P あまり 1

 のようになって、どれもわりきれません。
 これって、矛盾(むじゅん)してますよね。

 ということは・・・
 素数が有限個しかないというのがまちがいだったのです。
 つまり、素数は無限にあるということになります。

 


● エラトステネスのふるい ●

 素数かどうか調べる方法にも、古くから知られているものがあります。

 「エラトステネスのふるい」です。

 これは、合成数を「ふるい」落としていって
 ふるい落とされずにのこったものが素数、というものです。

 たとえば100までの素数を知りたいとしましょう。
 その時は /100=10 までの素数の倍数(何倍かした数)を
つぎつぎに消していくのです。

 10までの素数は
    2,3,5,7
です。

 まず、1 は(特別な数で素数ではないので)消してしまいます。

 次に、2は(素数ですから)そのままにして、
    2の倍数の 4,6,8,10,12,・・・・・
をふるい落とします。

 同じようにして、
    3の倍数の 6,9,12,15,18,・・・・・
    5の倍数の 10,15,20,25,30,・・・・・
    7の倍数の 14,21,28,35,42,・・・・・
をつぎつぎにふるい落としていきます。

 そのとき、ふるい落とされずにのこった数が素数だというのです。

 のこったのは
    2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,37,41,
   43,47,53,59,61,67,71,73,79,83,89,97
です。

 

    1                 10

   11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

   21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

   31 32 33 34 35 36 37 38 39 40

   41 42 43 44 45 46 47 48 49 50

   51 52 53 54 55 56 57 58 59 60

   61 62 63 64 65 66 67 68 69 70

   71 72 73 74 75 76 77 78 79 80

   81 82 83 84 85 86 87 88 89 90

   91 92 93 94 95 96 97 98 99 100

 

 さあ、どうしてふるい落とされずにのこった数が素数だといえるのでしょうか。

 たとえば 97 で考えてみましょう。

 もし、97が素数でなく、合成数だったら

    97=□×○×・・・・・×△

のように素因数分解されます。(合成数なら素因数は2個以上ある!)

 このとき、□,○,・・・・・,△ のどれかは /100=10 までの素数ですね。
 だって、どれも10より大きい素数だったら、97が

       10×10(×・・・・・×10)

の100より大きくなってしまいますから。

 さて、□,○,・・・・・,△ のどれかは /100=10 までの素数ですから、
それを□ってことにしましょう。

 そうすると、

    97=□×(○×・・・・・×△)

は、97 が □ の (○×・・・・・×△)倍 ってことですから、
□の倍数のときにふるい落とされているはずですね。

 ところが、ふるい落とされずにのこっていた・・・・・
それは、97が合成数なんかでなくって素数だったからです。

 言葉にするとややこしいけど、こんなことパッとわかりますよね。
 わからな〜いという人は、<お勉強>の「平均と平方根」を見てね。

 


● 素数かな? ●

 こんなことを考えてみましょう。

 今年は2001年ですが、今度素数になる年はいつかな?

  2001÷3=667  ですから 今年は素数ではありません。
  2002÷2=1001  ですから 来年も素数ではありません。

 では、2003年はどうでしょうか。

 「エラトステネスのふるい」でやってみましょう。

 /2003 までの素数の倍数でなかったら、
つまり /2003 までの素数でわりきれなかったら素数ということになります。

 電卓でやってみると
  /2003=44.7・・・・・
ですから、さっきの100までの素数のうち44までのものは

    2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,37,41,43

です。
 さあ、わり算してみましょう。

    2003÷ 2=1001 あまり  1
    2003÷ 3= 667 あまり  2
    2003÷ 5= 400 あまり  3
    2003÷ 7= 286 あまり  1
    2003÷11= 182 あまり  1
    2003÷13= 154 あまり  1
    2003÷17= 117 あまり 14
    2003÷19= 105 あまり  8
    2003÷23=  87 あまり  2
    2003÷29=  69 あまり  2
    2003÷31=  64 あまり 19
    2003÷37=  54 あまり  5
    2003÷41=  48 あまり 35
    2003÷43=  46 あまり 25

 けっきょく、どの素数でもわりきれなかったので
2003 は素数だとわかりました。

 どうですか?
 たかが、2003が素数かどうか調べるだけで
どっとつかれた、というのが本音ではないでしょうか。

 


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