二項分布

● パスカルの三角形 ●

 パスカルの三角形って、こんな三角形でした。

 

                           
                         1   1
                       1   2   1
                     1   3   3   1
                   1   4   6   4   1
                 1   5  10  10   5   1

 これは、1次元、2次元、3次元、4次元・・・の三角形の
頂点や辺の個数としてあらわれましたね。
 (くわしくは、このホームページの「4次元」を見てね。)

 

 そして、2項定理でこれらの数が出てきました。

  (a+b) = 

  (a+b) = a + 

  (a+b) =  + ab +  

  (a+b) =  + b  + ab +  

  (a+b) =  + b +  + ab +  

  (a+b) =  + b + 10 + 10 + ab +  

 

 ところで、パスカル自身はこの三角形を何に使っていたか知っていますか。

 じつは、確率(かくりつ)に使っていたそうです。

 この三角形じたいは、古くから知られていたのですが、
パスカルが確率の研究で、さかんに使ったことから、
「パスカルの三角形」とよばれるようになったとのことです。

 さて、 a か b のどちらかがおきるといえば ・・・
 a を「表(おもて)がでる」で b を「裏(うら)がでる」って思うと ・・・
 そう、「コインなげ」ですね。

 このホームページの「パスカルの三角形」でやったように

      というのを 道で上にいくこと
      というのを 道で横にいくこと

というようにしたければ、コインをなげて、
「表」か「裏」かで、上にいくか横にいくかきめればいいってものです。

 


● 二項分布 B(n,1/2) ●

 「コインなげ」を1回したら・・・「表がでる(a)」か「裏がでる(b)」です。

  (b+ = b + 

 どうして、a と b をいれかえたかって?

     「裏がでる(b)」ってことは、「表のでる枚数」が  枚
     「表がでる(a)」ってことは、「表のでる枚数」が  枚

ってことで、数におきかえるなら、(それが算数・数学ってものです!?)
やっぱり、小さいじゅんでないとね。

 つまりは、aについて「昇べきのじゅん」にならべかえただけです。

                                    1
 さて、ここで「表がでる(a)」確率も「裏がでる(b)」確率も ---- ですから
                                     2

    1     1     1     1
  (---- + ----)= ---- + ----
    2     2     2     2

                1     1
           1 = ---- + ----
                2     2

 では、「コインなげ」を2回したら・・・

     「2回とも裏(b)」    つまり 「表の枚数」が  枚
     「1回表で1回裏(ab)」 つまり 「表の枚数」が  枚
     「2回とも表(a)」    つまり 「表の枚数」が  枚

のどれかです。

  (b+ =  + b +  

         1       1
 ここで、a=---- , b=---- とすると
         2       2

            1      2     1
       1 = ---- + ---- + ----
            4      4     4

 こんなちょうしで、パスカルの三角形

                           
                         1   1
                       1   2   1
                     1   3   3   1
                   1   4   6   4   1
                 1   5  10  10   5   1

から、「コインなげ」の確率ができあがります。

                           

                         1   1
                        
----  ----
                         2    2

                       1   2   1
                      
---- ---- ----
                       4   4   4

                     1   3   3   1
 
                   ---- ---- ---- ----
                     8   8   8   8

                   1   4   6   4   1
                 
 ---- ---- ---- ---- ----
                   16  16  16  16  16

                 1   5  10  10   5   1
                
---- ---- ---- ---- ---- ----
                 32  32  32  32  32  32

 

 この表から、たとえば、「コインなげ」を4回するのなら・・・

  (b+ =  +  +  +  +  ・・・ (1)

     「4回とも裏(b)」      つまり 「表の枚数」が  枚
     「1回表で3回裏(ab)」  つまり 「表の枚数」が  枚
     「2回表で2回裏(a)」 つまり 「表の枚数」が  枚
     「3回表で1回裏(ab)」  つまり 「表の枚数」が  枚
     「4回とも表(a)」      つまり 「表の枚数」が  枚

のどれかがおきて、

 その確率は、それぞれ

                   1   4   6   4   1
                 
 ---- ---- ---- ---- ----
                   16  16  16  16  16

となります。そして、これらをぜんぶたし算すると

         1       1
 (1)で、a=---- , b=---- とすれば
         2       2

       1   1     1   4    6   4   1
    
 (----+----) = ----+----+----+----+----
       2   2      16   16   16   16  16

                             1   4    6   4   1
    
                  1   = ----+----+----+----+---- 
                  16   16   16   16  16

 そう、ちゃ〜んと確率「1」つまり「100%」になっています。
 (これらのうち、どれかがおきるということですね。)

 


● 二項分布 B(n,1/3) ●

 今度は、「さいころなげ」を1回したら・・・

 「1の目」か「2の目」か「3の目」か「4の目」か「5の目」か「6の目」がでます。

 でも、6通りのどれがおきるかってことはやめておいて、
「A」 か 「B(Aでない)」 か、って考えられるものだけにしましょう。

 たとえば、

     「1の目がでる」 か それとも 「1以外の目がでる」 か
     「偶数の目がでる」 か それとも 「奇数の目がでる」 か
     「3の倍数の目がでる」 か それとも 「それ以外の目がでる」 か

といったものです。

 このうち、今回は

     「3の倍数の目がでる(a)」 か 「それ以外の目がでる(b)」 か

を考えてみましょう。

  (b+ = b + 

     「それ以外の目がでる(b)」ってことは、「3の倍数の目がでる回数」が  回
     「3の倍数の目がでる(a)」ってことは、「3の倍数の目がでる回数」が  回

 今度は

                              1
     「3の倍数の目がでる(a)」 確率 は  ---- 
                              3

                              2
     「それ以外の目がでる(b)」 確率 は  ---- 
                              3

ですから、

 

    2     1     2     1
  (---- + ----)= ---- + ----
    3     3     3     3

                2     1
           1 = ---- + ----
                3     3

 では、「さいころなげ」を2回したら・・・

  「2回ともそれ以外(b)」        つまり 「3の倍数の回数」が  回
  「1回3の倍数で1回それ以外(ab)」 つまり 「3の倍数の回数」が  回
  「2回とも3の倍数(a)」        つまり 「3の倍数の回数」が  回

のどれかです。

  (b+ =  + b +  

         1       2
 ここで、a=---- , b=---- とすると
         3       3

            4      4     1
       1 = ---- + ---- + ----
            9      9     9

 こんなちょうしで、今度はパスカル風三角形

                           
                         2   1
                       4   4   1
                     8   12   6   1
                   16   32   24   8   1

から、「さいころなげ」の(3の倍数の)確率がでてきそうです。

 ちなみに、 パスカル風三角形というのは、
1次元、2次元、3次元、4次元・・・の正方形の
頂点や辺の個数としてあらわれましたね。
 (くわしくは、このホームページの「多項定理」を見てね。)

 

 さあ、確率はこうなります。

                           

                         2   1
                        
----  ----
                         3    3

                       4   4   1
                      
---- ---- ----
                       9   9   9

                     8   12   6   1
 
                   ----  ---- ---- ----
                     27  27  27  27

                   16  32  24  8   1
                 
 ---- ---- ---- ---- ----
                   81  81  81  81  81

 


● 標準化 ●

  1次元、2次元、3次元、4次元・・・の三角形や正方形の
頂点や辺の個数が、ず〜っと高い次元では何個ぐらいになるか・・・
なんて、だ〜れもきょうみないってものです。

 おそらく、きょうみのない確率は、
かぎりなく 1 (100%)に近いでしょう。

 ところが、ギャンブル(かけごと)となると話はべつです。

 ず〜っと、負けっぱなし・・・。
 これって、ちょっとへんじゃないかな〜。
 いったいぜんたい、そんなに負ける確率って、どれくらいなんだろう。
 がぜん、きょうみがわいてくるってものです。

 つまり、回数が多いときはどうなるかってことです。
 (図形なら、ず〜っと高い次元ではどうなるかってことです。)

 まずは、「コインなげ」と「さいころなげ」をグラフにしてみましょう。

 もちろん「たてじく」には確率をとるとして、
「よこじく」には何をとるといいでしょうか。

 まってました、といわんばかりですね。

     「表のでる枚数」が  枚
     「表のでる枚数」が  枚

というように、数におきかえておいてよかったというものです。
 それも、小さいじゅんの・・・。

 「コインなげ」はこうなります。

< コインなげ >

 「さいころなげ」はこうなります。

< さいころなげ >

 さて、このまま回数をふやしても
横に長くて、たてにみじかい、べた〜っとしたグラフになるだけです。

 そこで、「よこじく」には何をとるかということにもどって、
ちょっとそこの数にかけ算をして、のびちぢみさせたり、
ひき算をして、ずらしたりするのです。

 さらに、「たてじく」の方も、ぜんぶの面積が1になるように
ちょっとのびちぢみさせるのです。

 そうすると、こうなります。

< コインなげ >

< さいころなげ >

 

 


● 正規分布 ●

 さっきの「コインなげ」や「さいころなげ」の回数を、う〜んとふやすと、
のびちぢみさせた方のグラフはどうなるでしょうか。

 なんと、どちらも同じグラフに近づいていくというのです。

 「コインなげ」は

         1       1
      a=---- , b=---- 
         2       2

だったし、「さいころなげ」は

         1       2
      a=---- , b=---- 
         3       3

だったので、

     「パスカルの三角形」 と 「パスカル風三角形」

ていどのちがいがでてきました。

 つまり、

     「パスカルの三角形」は、左右対称(たいしょう)でしたが、
     「パスカル風三角形」は、ちょっとね〜といったものでした。

 それが、回数をふやすと、どちらもこんなグラフになるというのです。

 

 

 これは、(標準)正規分布(せいきぶんぷ)とよばれているものです。

 ということは・・・

 「パスカル風三角形」だって、
そのうち左右対称に近いものになっていくってことです。

 ということは、さらに・・・

 1次元、2次元、3次元、4次元・・・っていってるうちは、

     「三角形」 と 「正方形」

の頂点や辺の個数なんて、バラバラなように思うけど、

 な〜に、う〜んと高い次元では、
にたような「わりあい」であらわれてきて、

 しかも、考えている次元の半分ぐらいの胞のようなものが、
だんぜん個数が多いってことになりますね。

 


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