ペンローズ・タイル

● ペンタグラム ●

 ペンタグラムといったら・・・
そう、あのピタゴラス教団のシンボルマークです。

 もう、このホームページでは、おなじみですね。

 

 だったら、ペンローズなんだから・・・

 

 

 きっと、ペンタグラムのローズ(バラの花)だろうって?

 ざんねんでした。

 ペンローズというのは、人の名前なのです。

 その人は、2種類(しゅるい)のタイルを発明(?)して、
無限(むげん)に広がる平面を「タイルばり」してみせたのです。

 えっ、無限(むげん)に広がる平面なんて、
一生かかっても「タイルばり」できっこないって?

 もちろん、その方法を考えただけです。

 そのタイルばりが、
ちょっとそれまでになかったようなものなので、(非周期的といわれるもの)
とっても有名になりました。

 

 


● 相似 ●

 さあ、どんなタイルなのでしょうか。

 わくわく、どきどきですよね。

 きっと、見たこともないタイルだよね〜って?

 これまた、ざんねんでした。

 じつは、中学生ならきっと一度は見たことがあるものなのです。

 図形の相似(そうじ)のお勉強のところでです。

 

 

 まん中の三角形を見たことありますよね。

 角の大きさが 1:2:2 の比になっている三角形です。

 この三角形を、図のように「赤」と「青」に切ると、
「青」の三角形は、切る前のもとの三角形と相似(そうじ)でした。

 ペンローズ・タイルというのは、
この「赤」と「青」の三角形を図のようにくっつけて、
ひし形にしたものです。

 そして、この2種類(しゅるい)のタイルをつかって、
平面をすき間なくうめていったのです。

 つまり、ジグソーパズルのようなものです。

 たとえば、こんなふうになります。

 

 

 もちろん、あとはこの「かたまり」を使って、
どんどん平面をうめていこう・・・なんていうのはダメですよ。

 そういうのは、周期的(しゅうきてき)といって、
めずらしくもなんともないのです。

 ちなみに、こんなソロバンの玉のような形にしたのは、
なんのふかい意味もありません。

 2種類のタイルのどちらかから始めてもよかったのですが、
それだと、ステップが多くなって、めんどうだっただけです。

 

 


● 拡大・縮小 ●

 このペンローズ・タイルを使って、
いきなり「タイルばり」をはじめたら・・・

 さあ、たいへん!

 無限(むげん)に広がる平面どころか、
あっという間に、行きづまってしまいます。

 では、どうするかって?

 なにごとも、計画(けいかく)が大切ですね。

 今回は、計画を図にしてしまうのです。

 さしづめ、「タイルばり」の設計図(せっけいず)です。

 では、これから、その設計図(せっけいず)を書いていきましょう。

 たとえば、下の図からはじめます。

 

 

 これを、どんどんこまかくしていくのです。

 

 どんどん、どんどん・・・。

 

 

 もっと、どんどん、どんどん・・・。

 

 

 もっともっと、どんどん、どんどん・・・。

 

 

 もっともっともっと、どんどん、どんどん・・・。

 

 

 もちろん、もっともっともっともっと・・・こまかくしていけます。

 いつまでも、いつまでも・・・

 そう!無限(むげん)にこまかくしていけるのです。

 ・・・ということは?

 これを拡大(かくだい)した設計図(せっけいず)を見ながら、
どんな大きな壁(かべ)だって、みごとに「タイルばり」ができるってものです。

 もちろん、どこか気に入った部分(ぶぶん)をとりだして、
そこから、どんどん細かくしていってもいいですね。

 

 


● 黄金比 ●

 では、どういうルールで、こまかくしていったのでしょうか。

 もちろん、こまかくするといっても、
もとのタイルと形は同じです。

 つまり、相似(そうじ)です。

 この相似比には、あの黄金比が登場します。

 くわしくは、このホームページの
「ペンタグラム」、「黄金数」、「フィボナッチ数」、「母関数」などを見てくださいね。

 ちなみに、下の図は「母関数」にのせてあります。

 

 でも今回は、相似比については、立ち入らないでおきましょう。

 さて、こまかくするといっても
ちぢめて小さくするだけなら、かんたんですが、
それでジグソーパズルのように、くみあわせるとなると・・・。

 じつは、もうすでに、2種類のうちの細(ほそ)い方のタイルは、
すでに、こまかくする方法をお知らせしてあるのです。

 

 

 まん中の三角形を2つ、(たてに)くっつけると、
ペンローズ・タイルの細い方(の1まわり大きいもの)です。

 そして、そのこまかくする方法は、
もうやりましたよね。

 この三角形を、図のように「赤」と「青」に切ると・・・、

 そう、「青」の三角形は、切る前のもとの三角形と相似(そうじ)でした。

 ですから、それを2つくっつけたものは、
もとのペンローズ・タイルの細い方と相似です。

 さらに、のこった「赤」の三角形を2つくっつけると、
今度はペンローズ・タイルの太い方と相似です。

 これを、(2まわり)小さいサイズで図にすると・・・

 

 さて、では太い方のタイルは、
どのように、こまかくするのでしょうか。

 それが、下の図です。

 

 

 なんといっても、相似比に黄金数が出てくるだけあって、
ペンタグラムが大活躍(だいかつやく)ですね。

 そして、ペンローズは、このジグソーパズルのようなかみあわせが、
うまくいくってことを見つけたのです。

 しかし、どんな教科書にものっているほど、
平凡(へいぼん)きわまりない三角形から、こんなことを考えつくなんて・・・。

 やっぱり、ただものではありませんね。

 

 


● 線対称 ●

 さっき、どこか気に入った部分(ぶぶん)をとりだして、
そこから、どんどん細かくしていってもいいってことでしたよね。

 そこで、さっそく正10角形の部分をとりだして、
どんどんこまかくしていきました。

 それが、下の図です。

 5角形に広がっていて、とってもきれいですね。

 

 ところで、ペンローズは、さいしょから
ひし形のタイルを考えたのではありませんでした。

 じつは、さいしょは、こんな2種類のタイルをつかったのです。

 

 これをつかうと、たとえば、さっきの正10角形は、
こんなふうになります。

 そして、じ〜っとみつめると・・・

 や〜っぱり、ペンタグラムのローズ(バラの花)です。

 「名は体を表す」というけれど・・・もしかして?

 

 


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