連分数

● A3,A4,B3,B4 ●

 「ちかごろ、Aサイズでないとだめなんだ。
わら半紙では、Bサイズだし・・・。」

 もちろん、洋服のサイズのお話ではありません。
 「紙」のサイズ(規格)を話題にしているんです。

 でも、これからのお話には、
AサイズだろうがBサイズだろうがどちらでもいいんです。

 とりあえず、紙を1枚用意してください。
 でも、正方形の「おり紙(色紙)」ではだめですよ。
 A3,A4,B3,B4,・・・ といったサイズの紙です。
 そんなのな〜い、って?
 わら半紙がなくったって・・・、ノートを1枚やぶらなくったって・・・、
いつも新聞に入ってくる「折り込みちらし」というものがあります!
 あれって、だいたいA3,A4,B3,B4,・・・ といったサイズなんですよ。

 用意できましたか?

 では、おり紙をしましょう。

 

 まず、点Aが直線BC上にくるようにおりまげます。

 つぎに、直線BE と 直線BF がかさなるようにおります。
 つまり、角EBFを二等分するようにおります。

 

 そうすると、点E と 点C がぴったりかさなるでしょ!!

 ということは・・・・・。

 そう、もともとの紙(長方形)は たてとよこの比が、
正方形の対角線の長さになるようになっていたのです。

     AB : BC = 1 : /

 


● 相似 ●

 どうして、たてと横の比が 1:/ になるようにしてあるのでしょうか。

 そのことをみるために、今度は同じ大きさの紙を2枚用意しましょう。

 えっ、今日の「ちらし」は全部大きさがちがっているって・・・。
 それなら、1枚の「ちらし」をきっちり半分に切ってください。
 (長い方の辺を半分にしてね。)
 とにかく、さっき使ったくしゃくしゃになった紙ではなく、
おり目のついていない新しいのを用意してください。

 

 そうしたら、一方はそのままにして、もう片方は図のように半分に切ります。

 そして、それぞれの長方形の対角線に(1本だけ)おり目をつけます。

と、その半分

 それを、(てきとうに回転させたり、うらがえしたりして)重ねると、
下の図のように、対角線がかさなります。

 これって、半分に切ってできた長方形ともとの長方形が相似ってことです。

 じっさい、

      / 
      2 : 1 = / : 2 

            = / : (/

            = 1 : /

 

 ということは・・・、
紙のサイズは、どんどんどんどん半分にきっていっても、
もとの紙と相似になるようにくふうしてあるのですね。

 


● 連分数 ●

 さて、せっかくですから、ここで
ユークリッドの互除法
(の無理数版?)をやってみましょう。
 ユークリッドの互除法を知らな〜い、っていう人は
<お勉強>の「ユークリッドの互除法」を見てね。
 ここでは、どんどん正方形でうめていくってことを、まねしてみます。

 はやい話が、どんどん(できるだけ大きい)正方形を切り取っていくのです。

 

< / と 1 >

 まず、もとの長方形は / と 1です。

 まず

      / ÷ 1 = 1  あまり  (/−1) 

とします。(こんなわり算の書き方は、学校ではしないでね。)
 これは、/ から1が1つとれて、(/−1)のこったということです。

< 1 と (/ー1) >

 次に、今度は反対に 1 から (/−1)がいくつとれるか見てみます。

                      1  
      1 ÷ (/−1) =  /−1

                     /+1     
                 (/−1)(/+1)

                     /+1     
                   2 − 1

                 = /+1     ・・・・・ (1)

                 = 2 +(/−1)  ・・・ (2)

 ですから、商は 2 ですが、
あまりは 1 から (/−1)の2倍の長さをひいたものです。

     1−2(/−1) = 3−2/ 

 ですから、

      1 ÷(/−1) =   あまり (3−2/

 

< (/−1) と (3−2/)  >

 さらに今度は、(/−1) から (3−2/) がいくつとれるか見てみます。

                           (/−1)  
      (/−1) ÷ (3−2/) =  (3−2/

                           (/−1)(3+2/) 
                        (3−2/)(3+2/

                           3/+4−3−2/ 
                            9 − 8

                       = /+1     ・・・・・ (3)

                       = 2 +(/−1)

 となり、やっぱり 商は 2ですが、
あまりは (/−1) から  (3−2/)の2倍の長さをひいたものです。

     (/−1) − 2(3−2/) = 5/−7 

 ですから、

      (/−1) ÷(3−2/) =   あまり (5/−7)

 

< 相似 >

 続けてやる前に、(1)と(3)がいっしょであることに気づきますね。
 これは、下の2つの長方形が相似だってことです。

 と

 

 そうすると、どんどん小さくなって同じことがくりかえされるだけです。
 つまり、正方形は個とれて、「はんぱ」がでてくることのくりかえしです。

 

< 連分数 >

 このことを、分数であらわしてみます。

 

     / = 1 + (/−1)

                 1  
        = 1 +   1      ・・・ (4)
               /−1

                    1     
        = 1 + 2+(/−1)

 ここのところは (2)の

     1 ÷ (/−1) =  2 +(/−1)  ・・・ (2)

です。

 そして、

                    1     
        = 1 +      1   
                2+ 
  1   
                    (/−1)

 ここから (長方形が相似となって

                           (/−1)  
      (/−1) ÷ (3−2/) =  (3−2/

        1  
      /−1 
 

と等しくなって、)あとは同じくりかえしとなって

 

                  1     
     / = 1 +      1   
               +     1    
                  + 
                       ・・・

となります。

 ちなみに、(4)のように

                 1  
     (/−1) =    1  
               /−1

というように、分子と分母を入れかえることは
互除法では、たがいちがいに(お互いに)わり算をするってことです。

      / = 1.41421356・・・ (一夜一夜に、ひと見頃・・・)

が/の小数でのあらわし方なら、これは/の分数でのあらわし方です。 

 こんな分数は、連分数(れんぶんすう)とよばれています。

 分数の方が、ず〜っと  が続いていてとってもきれいですね。
 ところが、ず〜っと続くのが気に入らなかった人がいるのです。
 なんと、ピタゴラスの定理を発見したピタゴラス(教団)自身です。

 ピタゴラスの定理によると、正方形の対角線は2乗して2になる数、つまり/ です。
 ところが、いままで見てきたように、正方形の一辺と対角線の比は
いつまでたっても「はんぱ」がでてくる・・・。

 これって、ふつうなら、
こ〜んなにおもしろいこと見つけた〜!大発見!!っていうことで、
みんなにじまんしそうなものなのに、
自分たちの主義・信条にあわない・・・ということで、
ひたかくしにかくしたとのことです。

 


● 22/7 ●

 22/7 (7分の22)って有名ですね。

 そう、円周率πの近似値(きんじち)です。
 円周率πの近似値として、ふつうは小数の 3.14 を使います。
 でも、分数では 22/7 を使うことが多いようです。

 ついでですから、3.14 に近い分数を
ユークリッドの互除法を使って求めてみましょう。

 まず、約分しておきます。

     314   157
     100  50

 ここから、 157 と 50 でユークリッドの互除法を使います。

                                  157        7 
     157 ÷ 50 = 3 あまり 7  , これは  50 =  + 50

                                  50         1 
      50 ÷  7 = 7 あまり 1  , これは  7   =  + 

 これを、分数にあらわしてみます。

     314   157
     100  50

                 7  
         =  +  50

                 1  
         =  +  50
                  7

                 1  
         =  +      1 
                7+ 

      1 
 ここで、 7  を切り捨てると

                  1  
     3.14 =  +  

              22 
          =   7

 

 


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