多項定理

● パスカルの三角形 ●

 パスカルの三角形には、
「三角形」の頂点や辺や面の個数がひそんでいました。

 (このホームページの「4次元」でやりましたね。)

 

 

  2   

  は頂点の個数

  3  3   

  は頂点の個数

  はの個数

  4  6  4   

  は頂点の個数

  はの個数

  はの個数

 

 そして、4次元の三角形である正5胞体では・・・

     1  5  10  10  5   

個の頂点、10個の辺、10個の面、そして個の胞がありました。

 


● パスカル風三角形 ●

 だったら、超立方体の頂点や辺の個数も
パスカルの三角形のように、パッと出てくるといいですね。

 それなら、今度こそパスカルの三角形でなくって、
パスカルの正方形だろうって?

 ざんねんでした。
 やっぱり、「三角形」なのです。
 しいていうなら、パスカル風三角形です。
 (パスカル風なんて、なんだかおいしいお料理が出てきそうですね。)

 下の表が、「正方形」「立方体」そして「超立方体」用の
パスカル風三角形です。

 

 

2   

  は頂点の個数

4  4   

  は頂点の個数

  はの個数

8  12  6   

  は頂点の個数

 12 はの個数

  はの個数

 

 そして、4次元の正方形である超立方体(正8胞体)では・・・

     16  32  24  8   

16個の頂点、32個の辺、24個の面、そして個の胞がありました。

 


● 2項定理 ●

 パスカルの三角形といったら・・・、2項定理ですね。

  (a+b) = a + 

  (a+b) =  + ab +  

  (a+b) =  + b  + ab +  

  (a+b) =  + b +  + ab +  

  (a+b) =  + b + 10 + 10 + ab +  

 そうそう、展開(てんかい)したときの係数に
頂点や辺の個数が出てきたのです。

 だったら、「正方形」や「立方体」や「超立方体」の頂点や辺の個数だって、
何かの式を展開して出てこないかな〜って思いますよね。

 それはもう、さっきのパスカル風三角形を
じ〜っとながめれば、すぐに出てくるというものです。

 でも、せっかくですから、ちょっとまわり道してみましょう。

 


● 3次元のパスカルの三角形 ●

 このホームページの「パスカルの三角形」を見ていただけましたか。

 そこでは、碁盤(ごばん)の目のような道で、
行き方が何通りあるかを考えましたね。

 だったら、これを2次元の平面でなくって、
3次元の空間にしたらどうなるでしょう。

 さしずめ、3次元のパスカルの三角形ですね。

 

 さて、それぞれの頂点にたどりつく方法は、
何通りあるかを書いていきましょう。

 でも、この図に書きこむと、読めなくなってしまいそうです。

 そこで、ちょうど建物(たてもの)の設計図(せっけいず)のように、
1階、2階、3階・・・のように、書いていくことにしましょう。

 でも、ちょっとふつうとかえて、
0階からということにしましょう。

 こうすると、0階はcの0乗、1階はcの1乗、2階はcの2乗・・・
となって、つごうがいいのです。

 

 今度は、下の階から上がってくる方法も
わすれずにたし算しましょう。

 もちろん、0階はふつうのパスカルの三角形になっていますね。

 えっ、今度は a や b がついているって?

 今回はややこしいので、2項定理いえ3項定理をみこして
最初からつけておいただけです。

 さて、表ができたところで、「パスカルの三角形」でやったように、
(小さい立方体の一辺を1歩として)
1歩でいけるところ、2歩でいけるところ、3歩でいけるところ・・・
を考えてみましょう。

 そんなところがどこか、すぐにわかりますよね。

 あとは、「パスカルの三角形」でやったのと同じようにして
次の3項定理(じつは、ただの展開)がでてきます。

  (a+b+c) = a+
              +

  (a+b+c) = ab+
                 
ac+bc
                +

  (a+b+c) = b+ab
                 
c+abc+c  
                 +acbc
                         

  (a+b+c) = b+ab
                
c+12bc+12abc+
                  
12abc
                       
acbc
                           
  

 


● 超立方体 ●

 さて、上の3項定理で、a=b としてみましょう。

  (2a+c) = a+

  (2a+c) = ac+

  (2a+c) = 12c+ac

  (2a+c) = 1632c+24ac

 これらの式を展開したら、ちゃ〜んと
「正方形」や「立方体」や「超立方体」の頂点や辺の個数がでてきましたね。

 でも、こんなのパスカル風三角形をじ〜っとながめたら、
すぐにわかったことですよね。

 そして、さらに2項定理までもどると・・・

  (a+b) = a + 

  (a+b) =  + ab +  

  (a+b) =  + b  + ab +  

  (a+b) =  + b +  + ab +  

 ここで、 a=2 , b=−1 を入れてみましょう。

      1 = 2 − 1

      1 =  −  +1

      1 =  − 12 +  −1

      1 = 16 − 32 + 24 −  + 1

 そしてこれより、

       −  = 0

       − 12 +  = 2

      16 − 32 + 24 −  = 0

 これは、「正方形」や「立方体」や「超立方体」でも、
このホームページの「4次元」でやった(じつは、とばした?)
次の式がなりたっているということですね。

 


     2次元 なら (頂点)=(辺)
     3次元 なら (頂点)−(辺)+(面)=2
     4次元 なら (頂点)−(辺)+(面)−(胞)=0

 えっ、2項定理でいいのなら、
いままで何をしてきたのだろうって?(まあ、い〜じゃないの)

 とりあえず、こんなふうにして、何次元の立方体でも、
かんたんに頂点や辺の個数がかぞえられそうですね。

 


● 多項定理 ●

 じつは、3項定理なんて、だ〜れもいわないのです。
 (もちろん、3次元のパスカルの三角形なんていうのも・・・)

 2項定理の次は、いきなり多項定理(たこうていり)なのです。
 そして、これは高校のお勉強なのです。

 


  【 多項定理 】

  (a+b+c+・・・) の展開式の一般項は

              n!
           ------------ ・・・
           p!q!r!・・・

                  ( p+q+r+・・・=n , p,q,r・・・≧0 )


 これは、3次元よりもっと高い次元のパスカルの三角形を使う・・・
はずがありません。

 たんに、展開して同類項がいくつあるか数えるだけです。

 たとえば、(a+b+c) を展開すると、
bc の係数が12、つまり+12bc がでてくるということは、
「パスカルの三角形」でやったように、
a,a,b,c のならべ方が

     aabc , aacb ,abac , abca ,acab ,acba ,
     baac , baca ,bcaa , caab ,caba ,cbaa ,

のように、12通り あるということです。

 そして、そのa,a,b,c のならべ方が何通りあるかというのが、

            4!
         ----------  (通り)
         2!1!1!

で計算できるというのです。

 ここで、4 というのは (a+b+c) の 4
      2,1,1 は abc つまり a の 2,1,1 です。

 そして、「!」は階乗(かいじょう)といって、

     4!=4×3×2×1=24

のように、1ずつへらしながら1になるまでかけ算する記号です。

 これはちょうど、ことなる4つのものを4つともならべる方法になっています。

 ところが、a,a,b,c のならべ方は、a,a,と同じものがあるので、
これよりへります。

 何分の1にへるかと考えることによって、

            4!
         ----------  (通り)
         2!1!1!

とすぐにでてくるのです。

 そして、これを計算すると

            4!      4・3・2・1 
         ---------- = ---------- = 12
         2!1!1!    2・1・1・1

と、ちゃ〜んと 12 とでてきます。

 


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