地球とのすき間は?

● あと10m長かったら・・・ ●

 クレオパトラの鼻があと1cm低かったら世界の歴史は変わっていたかも・・・、
というお話はあまりにも有名。

 では、地球のまわりの長さがあと10m長かったら・・・?

 

     

 

 そんなメールをいただきましたので、ご紹介します。


 昔、確か「阿刀田 高」さんの書いた本で見た話をご紹介します。
(本のタイトル忘れました。 ・・・の散歩道 だったかな?)

 地表にピッタリ貼りついて、地球をグルリ1周している帯があるとします。
つまり長さ約4万qの帯ですね。
 この帯を、たった
10mだけ伸ばして、またグルリ1周まわしたとします。
 するといくらか地表面から空き(高さ)が出ますね。
 さて、この高さは、いったいどれ位か、というものです。

 アリがやっと通れる位か、それとも・・・

 答えは確か、約1.5mだったと思います。
 普通の大人でもちょっとお辞儀程度にかがめば、くぐれる高さですね。

 直感的には、ごくわずかな高さと思ったので、実に意外な答えでした。
 だって地球
1周プラスたった10mですよ。
 問題の出し方もいいのでしょう。

 ちなみに地球じゃなくても、太陽でもピンポン玉でも、
同じ答えになるはずです。

 

                「福田さん」からのメールより一部引用 

 次の日、さっそくもう一度メールをいただきました。
 本の題は「頭の散歩道」 (阿刀田 高著 文春文庫 1983年)とのことです。

 福田さんは 「それから数学がちょっと好きになった」そうです。

 そんなお話って、ぜひみなさんにお知らせしたいですよね。
 というわけで、紹介させていただきました。

 


● あと1m高かったら・・・ ●

 これとよく似たこんなお話があります。
 こちらも紹介しておきましょう。

 赤道のまわりを、地表から1m離してグルリ1周している帯の長さは
赤道の長さよりも何m長いでしょうか。

 もちろん、地球である必要はなく
太陽でもピンポン玉でも、はっきりいって何もなくても答えは同じです。

 

     

 

 答は 2π (π は 円周率で約3.14) 、
 つまり 約6m です。

 この長さは、地球やピンポン玉のようなもののまわりではなく
何もなにところに半径1mの円を作ったときの長さです。

 問題がおもしろいわりには、とってもかんたんにもとまります。

 地球の半径を r m とすると

  赤道の長さは 2πr m
  帯の長さは 2π(r+1) m

 したがって、どれだけちがうかというと

  2π(r+1) − 2πr = 2πr + 2π − 2πr
                 = 2π (約6m)

です。

 


● どっちがおもしろい? ●

 福田さんもおっしゃっているように、地表面からの高さにした方が
問題がずっとおもしろくなりますね。

 だって、アリがやっと通れる位か、それとも・・・
ってだれでも思いますから。

 こちらのお話は方程式です。
 方程式は中学校で習いますよ。
 小学校の  を  にするだけです。

 高さを x m にすると

      2π(r+x) − 2πr = 10

   2πr + 2πx − 2πr = 10   (分配法則を使っています)

                2πx = 10

                   x = 10÷2π

                    = 10÷(2×3.14・・・)

                    =1.59・・・ (約1.6 m)

 

 1.6m って、子どもならラクラク通れますよね。

 ちなみにこの長さは、地球やピンポン玉のようなもののまわりではなく
何もなにところに周りが10mの円を作ったときの半径の長さです。

 とってもおもしろい問題、どうもありがとうございました。


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