コインの話

● ユーロ ●

 コインって硬貨(こうか)のことです。
 そう、1円玉、10円玉、100円玉・・・っていうお金のことです。

 なんで、いきなりコインのことを書こうかと思ったかって?

 じつは、「ユーロ」反対のようすを二ユースでやっていたんです。

 その反対している人が何って言ったと思いますか。

 ユーロの紙幣(しへい)をみせながら、
 「いったい、ヨーロッパには紙幣にのせるほどの人物もいないっていうのかい。」

 その紙幣には、人物ではなく、
たしか凱旋門(がいせんもん)の写真がのっていたようです。

 そうか・・・。
 これがヨーロッパの人の感覚かと、みょうに感心するとともに、
これからお話することを思い出してしまいました。

 


● 「おもて」と「うら」 ●

 1円玉、10円玉、100円玉・・・

 さて、どちらが「おもて」で、どちらが「うら」か知っていますか。

 じつは、わたしは数学の教科書に出てくるまで、
ずっと「おもて」と「うら」を反対に思いこんでいました。

 えっ、数学の教科書なんかに、なんで出てくるかって。

 「確率(かくりつ)」というお勉強があるのです。
 ぱっとコインをほうりなげて、
さあ「おもて」が出るか「うら」が出るか・・・
そんなことやってみるまでわかりっこないけど、
どれくらいのわりあいで「おもて」が出るかってことのお勉強です。

 じつは、絵のある方が「おもて」で、
「10」とか「100」とか大きな数字がある方が「うら」なんです。

 でも、わたしは、なんとな〜く
「10」とか「100」とか大きな数字がある方を、
「おもて」だと思いこんでいたのです。

 それだけなら、「わたしも!」っていう人もきっといるでしょうね。

 


● 500円玉 ●

 最近、500円玉があたらしくなりましたね。

 でもこれは、古い方の500円玉が、はじめてできたころのお話です。
 それまでは、1000円札と同じように、500円はお札(さつ)だったのです。

 はじめて500円玉を見たときのことです。
 いや〜、びっくりしました。

 何にびっくりしたかって?

 100円ならふちはギザギザだけど、
500円玉のふちは「NIPPON 500」ってほられています。

 もちろん、そんなことにびっくりしたのではありません。

 問題は、その向きです。

 だれがどう考えたって、上を「おもて」になるようにおいたら
「NIPPON 500」って書かれているべきですよね。

 ところが、これがさかさまになっているのです。

 びっくりしただけでなく、
ひそかに「しめしめ」って思いましたよ。
 だって、こういう「不良品」(ふりょうひん)は、
あとで高いねだんがつくにきまっているからです。

 ところがです。

 いつまでたっても、「不良品」はへるけはいもありません。
 なんと、今の日本の技術(ぎじゅつ)では、
向きをきちんとそろえることはできないとのこと。

 ・・・ということは?

 そう、上を「おもて」になるようにおいたら、
「NIPPON 500」って書かれているのが半分、
さかさまに書かれているのが半分というわけです。

 まさしく、「確率」の問題となってしまいました。

 


● 「H」と「T」 ●

 「確率」のお勉強も英語ですると、いきなりつまずきます。

 もっとも、こんなことでつまづいたのは
わたしだけかもしれません。

 英語でコインの「おもて」と「うら」を何というか知っていますか。

 「おもて」を「Head」、「うら」を「Tail」というのです。

 ですから、コインをなげて、

     「おもて」「うら」「うら」「おもて」「うら」

と出たら、このことを

     H T T H T

なんてぐあいに書くのです。

 でも、どうして「おもて」が「Head」で、「うら」が「Tail」なのでしょう。

 ずいぶんあとでわかりました。
 (日本語のうまい)外国の人に、ちょくせつ聞いたのです。

 聞いてしまうと、な〜んだということでした。

 「Head」は人間の頭、つまり人物ののっている方、
「Tail」はしっぽ、つまり動物の絵がのっている方だというのです。

 コインといっても、日本の硬貨(こうか)には
人物も動物ものっていないので、ピンとこなかったのです。

 こんなことを、「ユーロ」のお話でふっと思い出してしまいました。


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