ピタゴラス音階

● ドレミ ●

 「ド」 は ドーナツの ド
 「レ」 は レモンの レ

 ・・・な〜んて歌がありますが、
これで、「ドレミ」がわかった気になるはずもなく・・・

 そう、わたしは音楽は(も?)からっきしダメ、
「おたまじゃくし」がどこを泳いでいようとも、
気にならない方なのです。
 (でも、雑音(ざつおん)は、めいっぱい気になります。)

 ちなみに、「ドレミファソラシド」というのは、イタリア読みで、
日本名では「ハニホヘトイロハ」っていうことも、最近わかったことです。

 それなら、「ハ長調」とか「ヘ長調」とかの「ハ」とか「ヘ」とかは、
なんのことだと思っていたかって?

 もちろん、それはそんな名前なんだと・・・

 ですから、楽譜(がくふ)の上に 
「C」 とか 「D」 とか(「コードネーム」というそうです)ついていても、
これも、こういう記号なんだとしか思っていませんでした。

 そうじゃなかったんですね〜。

 アメリカ名(?)では、「ドレミファソラシド」というのは、
「CDEFGABC」なのです。

 そして、コードネームの「C」というのは「」から始まる和音(長三和音)の
ミソ」のことだったのです。

 もっとも、ふつうはこれくらい常識(じょうしき)なのでしょうね。

 


● 「ラシド」と「イロハ」と「ABC」 ●

     「 ド レ ミ ファ ソ ラ シ (ド) 」

というのは、ど〜せわけがわからないので気にならないのですが、
(「聖ヨハネ讃歌」からきたものだそうです。)

     「 ハ ニ ホ ヘ ト イ ロ (ハ) 

     「 C D E F G A B (C) 

となると、「ちょっとまてよ!」といいたくなります。

 どうして、

     「 イ ロ ハ ニ ホ ヘ ト (イ) 

     「 A B C D E F G (A) 

でないの〜って思ってしまいます。

 でも、これって、ぎゃくなのですね。

     「 ド レ ミ ファ ソ ラ シ (ド) 」

の方が、

     「 ラ シ ド レ ミ ファ ソ (ラ) 」

であるべきだったのです。

 そう!どうせ、

     「・・・ドレミファソラシドレミファソラシドレミファソラシ・・・」

と、まるで循環小数(じゅんかんしょうすう)のように、
くるくるとくりかえされるのですから、

     「・・・ドレミファソラシドレミファソラシドレミファソラシ・・・」

にしたって、いっこうにさしつかえなさそうです。

 じっさい、国際基準というのがあって、

     「」(=「」=「」) が 振動数440Hzの音

ときめられています。

 「」であって、「ド」でないことに注目(ちゅうもく)ですね。

 


● 十二平均律 ●

 「 ド レ ミ ファ ソ ラ シ (ド) 」

の低い「ド」と高い「ド」は、木琴(もっきん)の木の長さでいうと、

低い「ド」の長さは、高い「ド」の長さの2倍です。

 

   

 

 では、ほかの長さはどうなっているのでしょうか。

 じつは、ここで、「ドレミファソラシ」のほかに、
こんな音も入れて考えるのです。

 

   

 

 低い「ド」の長さは、高い「ド」の長さの2倍でしたが、
どんどんx倍していって、この2倍になるようにするのです。

 これは、2倍を平均していることになります。

 もっとも、たし算の平均

     =2

ではなくって、かけ算の平均

     ×××××××××××=2 ・・・ (1)

を考えるのですね。

 12個の平均なので、十二平均律といいます。

 さて、(1)は

     12=2 ・・・ (2)

と書いたりしますが、さてこのはどんな数でしょうか。

 高校生になると(「指数・対数」で)お勉強しますが、

      = (およそ)1.06 

です。

 あとは、電卓(でんたく)で
高い「ド」の長さの何倍になるのか計算してみましょう。

 もちろん、あくまでも木琴つまり振動体(しんどうたい)の長さであって、
振動数(しんどうすう)ではないことに気をつけてください。

     高ド   を (=)1 (とする)

      シ   は =1.06

      ラ♯ は =1.12  ・・・・・  これは およそ9/8

      ラ  は =1.19  ・・・・・  これは およそ6/5

      ソ♯ は =1.26  ・・・・・  これは およそ5/4

      ソ  は =1.34  ・・・・・  これは およそ4/3

      ファ♯ は =1.41

      ファ  は =1.50  ・・・・・  これは およそ3/2

      ミ   は =1.59  ・・・・・  これは およそ8/5

      レ♯ は =1.68  ・・・・・  これは およそ5/3

      レ  は 10=1.78  ・・・・・  これは およそ16/9

      ド♯ は 11=1.89

      ド  は 12=2.00

 


● ピタゴラス音階 ●

 ところで、今ではあたりまえのような十二平均律ですが、
もちろん、昔からそんなものがあったはずはありません。

 だれかが発明(?)して、つくられたにきまっています。

 それも、だれかが1人で作りあげるというよりは、
どんどん改良(かいりょう)されていくことが多いようです。

 じつは、この十二平均律のもとになったのが、
あのピタゴラス教団の研究した「ピタゴラス音階」なのです。

 ピタゴラス教団といえば・・・
このホームページでも、たびたび出てきた、
あの「ペンタグラム」をシンボルマークとしていた教団です。

 

 さあ、「ピタゴラス音階」と「ペンタグラム」は、
どうつながっていくのでしょうか。

 

 では、さっきの計算の「ソ」と「(低)ド」をとりだしてみます。

      ソ  は =1.34  ・・・・・  これは およそ4/3

      ド  は 12=2.00

 そして、この比をみてみます。

      ド : ソ = 2 : 4/3

            = 6 : 4   (3倍した)

            = 3 : 2   (2でわった)

 つまり、「木琴の長さ」とか「弦の長さ」でいうと、
「ド」と「ソ」は「3:2」になっているのです。

 もっとも、これは今の時代から見た話で、
どうやってピタゴラスがこの「3:2」に気づいたのかは・・・

 では、「ド」から「3:2」をりようして、どんどん音階を作っていきましょう。

 ただし、もとの「ド」の長さの半分よりも短くなったら、
2倍することによって、オクターブ内におさめることにしましょう。

 じつは、さらに続けても「高ド」にもどるわけではありませんが・・・。
 (なにしろ分母が3なので、とちゅうで2倍したところで、
  もとにもどるはずがありません。)

 ここで、「ドソレラミ」を音程順にならべかえて「ドレミソラ」にして、
これを時計と反対まわりに書き、
さらに、今の作り方をたどってみると・・・

 あの「ペンタグラム」のとうじょうです!

 この「ドレミソラ」のように、1オクターブに五音を持つ音階を
ペンタトニック」というそうです。
 (わたしには、シャンプーの名前としか思えないけど)

 さいごに、この作り方が、
今の時代の「ドソレラミ」に近いことを、計算してたしかめましょう。

 さっきの計算とあわせるために、
まず、はじめを 「2」 として 「(低)ド」 と することにします。

  「」 は 「(低)ド」 と します。

  これの2/3倍 は 2×2/3=4/3 で 「ソ」

  これの2/3倍の2倍は 4/3×2/3×2=16/9 で 「レ」

  これの2/3倍 は 16/9×2/3=32/27=(約)30/25=6/5 で 「ラ」

  これの2/3倍の2倍は 32/27×2/3×2=128/81=(約)128/80=8/5 で 「ミ」

 もちろん、しつこいようですが、
あくまでも今の時代からみてのお話ですね。

 ピタゴラス教団は、「3:2」のように
「比で表される数」である「有理数」しかみとめていなかったのですから、
「3:2」をつかって作られる音階こそが本物(?)であって、

     =1.05946・・・

      =(約)1.06

をもとにした今の十二平均律に発展するなんて、
考えたくもなかったかもしれませんね。

 

 


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