フラーレン

● フラーレン ●

 女の人に人気のあるのは、なんといってもダイヤモンド。

 その美しさは、永遠(えいえん)です!
・・・なんていうのは、まっかなウソ。

 もえてしまえば、えんぴつのしんとかわらない、
ただの炭素(たんそ)だそうです。
 (わたしは、化学もにがてなので、質問はおことわりしますよ。
 くれぐれも、よろしく!)

 でも、このお話には、つづきがあるのです。

 それが、フラーレンという第三の炭素(たんそ)のお話です。

 この第三の炭素(たんそ)は、たくさんあって、
まとめてフラーレンというそうです。

 フラーレンというのは、多面体をつかった建物(たてもの)でゆうめいな、
建築家(けんちくか)の名前「フラー」からきているそうですよ。

 


● サッカーボール ●

 フラーレンの中には、なんとサッカーボールまであるのです。

 

 

 それが、60 です。

 この60というのは、頂点の個数です。
 頂点には炭素原子があるので、
炭素原子の個数が60個ということになります。

 では、とりあえず、頂点の個数が60個であることを
たしかめておきましょう。

 このホームページの「かごめ」で、
サッカーボールは

     正五角形は 12枚
     正六角形は 20枚

からできているってことをやりました。

 これをつかって数えます。

     正五角形の頂点の個数は 5×12=60
     正六角形の頂点の個数は 6×20=120

 ですから、あわせて

     60+120=180

 もちろん、おなじ頂点をなんども数えてしまったから多いだけです。

 そこで、1つの頂点をなんど数えたかをみてみると、
1つの頂点のまわりに3つの面がありますから、
どれも3回ずつ数えてしまったことになります。

 ですから、3でわると、

     180÷3=60(個)

 ほら、ちゃんと頂点の個数が 60(個) と数えられましたね。

 


● 多面体 ●

 もちろん(?)フラーレンは、サッカーボールだけではありません。

 下の図は、70 です。

 これは、球(きゅう)ではなくって、楕円体(だえんたい)をしていますね。

 

 このほかにも、C76,C78,・・・,C96 なんてのがあるそうです。

 そして、それらがどれも

     正五角形 と 正六角形

からできているのです。

 もちろん、正六角形の個数はちがっていますが、
なんと正五角形の個数は、サッカーボールと同じ

     12 (個)

なのです。

 さあ、どうして12個なのでしょう?

 


● オイラーの多面体定理 ●

 このホームページの「4次元」で、
頂点と辺と面の個数についてやりましたね。

 じつは、

     (頂点)−(辺)+(面)=2

という式がなりたっていて、これをオイラーの多面体定理というのです。

 では、この定理をつかって、さっきの
正五角形の個数は12(個) であることをみていきましょう。

 まず、正五角形と正六角形では、
1つの頂点のまわりに4つの面はよせあつめられません。

 これは、角度を計算すれば、
360度をオーバーしてしまうってことで、
すぐにわかりますね。

 つまり、1つの頂点のまわりには3つの面が
あつまっているはずです。

 そこで、

     正五角形の個数を x
     正六角形の個数を y

とすると、

 頂点の個数

     正五角形の頂点の個数は 5x
     正六角形の頂点の個数は 6y

 ですから、あわせて

     5x+6y

 1つの頂点のまわりに3つの面がありますから、3でわると、

     5x+6y
    ----------
       3

 

 つぎは、辺の個数です。

     正五角形の辺の個数は 5x
     正六角形の辺の個数は 6y

 ですから、あわせて

     5x+6y

 1つの辺のまわりに2つの面がありますから、2でわると、

     5x+6y
    ----------
       2

 

 さいごに、面の個数は、もちろん

     x+y

です。

 これらを、つぎの式に代入します。

     (頂点)−(辺)+(面)=2

     5x+6y      5x+6y
    ---------- − ---------- + (x+y) = 2
       3          2

 両辺に6をかけると

     2(5x+6y) − 3(5x+6y) + 6(x+y) = 2×6

     10x + 12y − 15x − 18y + 6x + 6y = 12

 これより

     x = 12

 ほら、x だけが 12 って、きまってしまうのですね。

 


● かごめかごめ ●

 炭素原子が、なかよくお手手つないで輪(わ)になっても、
オニがいないのでは、つまりませんね。

 ところが、おどろき!
 オニがいるものがあるのです。

 金属原子(きんぞくげんし)を中にもっている、
金属内包(きんぞくないほう)フラーレンです。

 いよいよ、「かごめかごめ」のとおりになってきましたね。

かごめかごめ
かごの中の鳥は
いついつ出やる
夜明けの晩(ばん)に
つるつるつうべった
後ろの正面(しょうめん)だあれ

 かごは、炭素原子(たんそげんし)からできています。
 かごの中の鳥は、金属原子(きんぞくげんし)です。
 そして、そんな夢(ゆめ)の物質(ぶっしつ)は、
いったいいつ、この世に出てくるのでしょうか。

 (もう、いくつか出てきているようですよ。)

 


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