ひき算は何流?

● 算用数字 ●

 最近、こんなメールをいただきました。

 「10進法って何ですか。おしえてください。」

 このメールを読んで、こんなことがあったのを思い出してしまいました。

 ある試験の受験番号にまつわるお話です。
 どんな番号だったのかはわすれましたが

     「百二十五」

のように、漢字で記入されていたのです。
 ふしぎに思って本人に聞いてみたら、

     「算用数字で記入すること」

って書いてあったけど、算用数字って何だかわからなかったからだそうです。
 あ〜あ!ふつうに「数字」で記入することって書いてあれば
なやむこともなかったでしょうに・・・。
 ここでつまずいて、試験中にあがらなかったことを祈るばかりです。

 それで、この話と10進法と何の関係があるのかって?

 それは、コンピュータでよく使われる2進法や16進法とちがって、
10進法を知らない人なんていないだろうなってことです。

 わざわざ「算用数字」なんていうから考えすぎてしまうので、
ふつうに「数字」っていえばよかったのです。

 それと同じように、小学校1年生からず〜っと習ってきた
ふつうの方法が10進法なのです。

 


● 10進法 ●

 小学校の1年生で習いました。

 さて、は1円玉としましょう。いくらありますか。

     ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●

 なれると 1,2,3,・・・といっきに23まで数えて23円と答えます。
 でも、なれないうちは、じつはこんなふうに考えています。

     ●●●●●●●●●● と ●●●●●●●●●●  ●●●

 つまり、10ずつ1かたまりにして数えるのです。
 お金でいうと、を10円玉ってことにすると、

     ●●●●●●●●●●  ● に両替するのです。

 そうすると、

     ● と ● と ●●●

となって、10のかたまり(10円玉)が2つと、1(1円玉)が3つということで、円です。

 漢字でかくととなりますが、書きあらわし方は多少ちがっていても
10進法にはちがいありません。

 3 のように 数字を書く位置(いち)で位(くらい)を表す方法を
さらに、10進位置位取り記数法などといったりします。

 3 では  は十の位、 3は一の位です。

 この方法では、その位置(位)に何もない場合には  を書かないといけません。
 何にもないのだからといって何も書かないと、
そこから位置つまり位がずれてきてしまいます。

 それにしても、「十円」,「百円」,「千円」とはいっても、
なぜか「万円」とはいわないで

      「万円」

といいますね。
 だったら、どうして「一十円」,「一百円」,「一千円」といわないのでしょうか・・・。

 


● ひき算の流派? ●

 あなたのひき算は何流ですか?

 ええっ、何のこと?
 ひき算に流派(りゅうは)があるの?
 お花なら、池坊とか草月流とかあるようだけど・・・。

 わたしも、大人になるまで知りませんでした。
 まして、わたしの流派は「左きき」のように小数派だったとは・・・。
 もちろん、高等数学のお話なんかじゃなくって、ふつうのひき算です。

 10進法の話題で、ひき算といったら・・・
そう、くりさがりのあるひき算ですね。
 おとなりさんから10借りてくるっていう、あれです。
 10集まったらくりあがるのですから、反対にくりさがるときは
10おろしてくるのが10進法ですね。

 たとえば、53−29 をやってみましょう。

        53
     −) 29

 さあ、3から9がひけないので、おとなりさんから10借りてきます。

 (返すつもりもないのに、どうして借りてくるって言うんでしょうね〜。)

 そこんとこは、同じです。
 でも、いつ借りてくるかで、「右きき」のような多数派と、
「左きき」のような小数派に分かれるのです。

<右きき流>

 まず、ぱっと見てすぐに借りに行くのが多数派です。
 そして、借りてきたばっかりの10から9をひきます。
 そうすると 1 です。

 むずかしくいうと、(10の)補数を考えるわけです。
 9の補数は1です。
 (補数って何〜?っていう人は<お勉強>の「補数」を見てね。)

 そこで、3とあまった1をたすと4です。

        53
     −) 29
        □4

 くりかえすと

       10−9=1 (9の補数は1)
        3+1=4 

とやります。

 

<左きき流>

 小数派は、たりなくなってから、さて借りに行こうというのんびり派です。

 3から9をひこうとすると6たりないなと思います。
 (9から3をひくことになります。)
 そこで、借りてきた10からたりない6をひくと4です。

 ここで(10の)補数を考えているのは同じです。
 6の補数は4です。

        53
     −) 29
        □4

 くりかえすと

        9−3=6
       10−6=4 (6の補数は4)

とやります。

 


● たし算とひき算 ●

 さて、どちらの方法がまちがいが少なくなるかというと
やっぱり<右きき流>の多数派ですね。

 10の補数では、どちらもまちがわないとして
のこりは<右きき流>はたし算、<左きき流>はひき算ですから。

 ちなみに、わたしは「ひき算」は大きらい、
とくにくりさがりのあるひき算はにが手です。

 では、どうしてそんなややこしい<左きき流>の方法でやっているのかって?

 じつは、このとき学校を休んだのです。
 次の日に学校に行ったら、さっぱりわからなかったことをおぼえています。
 でも、なんだかそのうちわかったつもりでいたんですよね〜。
 まさか、みんなとちがっていたとは・・・。
 手の左ききと同じで、後になると直らないんですよ〜。
 (わたしは手は右ききですけど・・・。)

 さて、あなたは<右きき流>、それとも<左きき流>?


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