ISBNとバーコード(1)

● 背番号(?) ●

 就職してすぐのことです。

 自分に番号がつけられていることに気づいたのは!

 給料その他、すべてこの番号で処理されているのです。

 それは、「79???」というものでした。

 「79???」の「79」は、すぐに分かりました。

 就職した年が1979年なので、その後ろ半分の「79」です。

 100年も勤めている人はいないのですから、重複する心配はありません。

 「79???」の「???」も、しばらくして分かりました。

 その年の同期採用者につけられた番号です。

 3桁で、必要にして十分なのです。

 それでは最後の、「79???」の「」は、何なのでしょう?

 この数のことは、お給料を計算してくださっている事務の方から、バッチリお聞きしました!

 その方が言うには、「79???」の「79???」から出てくる数で、
コンピュータがエラーをチェックするための数だということです。

 どうやって出すのかまでは、教えていただけませんでしたが・・・。(残念!)

 


● ISBNとバーコード ●

 本には、ISBNコードがつけられています。

 ISBNは、「International Standard Book Number」の略です。

 世界中の本が、この番号で処理されるのです。

 ちなみに、拙著の「大人の算数 子どもの数学」にも、こう印刷してありました。

 

   ISBN4−88399−331 

   C0030 ¥1400

 

ところがです。

その上のバーコードでは、こうなっているのです。

 

   978488399331 

   19200301400

 

 

 もちろん、こう思いました。

 バーコードの「978488399331」は「ISBN4−88399−331」からきている。

 バーコードの「19200301400」は「C0030 ¥1400E」からきている。

 それにしても、「978488399331」は「」なのに、

どうして「ISBN4−88399−331」は「」なのだろう、って。

 


● ISBNは「11」で割って! ●

 ISBNコードは、こうなっているそうです。

 またしても、「ISBN4−88399−331」を例にとります。

    最初の「」は、「国」の番号です。「4」は「日本」です。

    次の「88399」は、「出版社」の番号です。「88399」は「すばる舎」です。

    次の「331」は、その出版社でつけた本の番号です。「331」は「大人の算数子どもの数学」です。

    最後の「」は、エラーチェックです。4−88399−331から出てくるのです。

 

 ISBNコードのエラーチェックの数は、こんなふうにして出てきます。

 まず、かどうかはまだ分からないことにして、とします。

 4−88399−331 を 4 8 8 3 9 9 3 3 1  とします。

 この下に、右から番号を打ちます。

     4 8 8 3 9 9 3 3 1  
    10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 

 上と下をかけてたします。

    4×108×98×83×79×69×53×43×31×2x×1

  = 40+72+64+21+54+45+12+9+2+x

  =319+x

 ここで出てきた「319+x」が「11」で割りきれるように、x

    0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10

のどれかをあてはめます。

 ただし、10があてはまった場合には、は10としないで0とします。

 今の場合は  とすれば、「319+x」は「11」で割りきれます。

 こうして、「4−88399−331」 は「4−88399−331」 と分かりました。

 


● バーコード ●

 さて、バーコード

    「978488399331」は「ISBN4−88399−331」から、

    「19200301400」は「C0030 ¥1400E」から

きています。

 それなら、

    「978488399331」の「978」と、

    「19200301400」の「192」は

何なのでしょう?

 じつは、この3桁の数は、どの本も同じになっています。

 

 上の「978488399331」は国際規格で、

    「978」のところは、本来はここに「国」の番号がくるはずなのですが、
    「978」だと世界共通に「書籍」になるそうです。

 続く「488399331」はISBNコードです。

 その次の「」は、エラーチェックの数です。

 

 下の「19200301400」は国内規格で、

    「192」はのところは、本来はやはり「国」の番号がくるはずなのですが、
    「192」だと「書籍」ということになるそうです。

 続く「0030」は分類番号で、その次の「1400」は5桁で価格を表します。

 その次の「」は、エラーチェックの数です。

 


● バーコードは「10」で割って! ●

 不思議なことに、ISBNコードとバーコードでは、

エラーチェックの数の出し方がちがうのです。

 

 バーコードのエラーチェックの数は、こんなふうにして出てきます。

 

 上の「978488399331」で

かどうかはまだ分からないことにして、とします。

 978488399331 の下に、右から1と3をかわるがわる並べます。

     9 7 8 4 8 8 3 9 9 3 3 1  
     1 3 1 3 1 3 1 3 1 3 1 3 

 上と下をかけてたします。

    9×17×38×14×38×18×33×19×39×13×33×11×3x×1

  = 9+21+8+12+8+24+3+27+9+9+3+3+x

  =136+x

 ここで出てきた「136+x」が、今度は「10」で割りきれるように、x

    0,1,2,3,4,5,6,7,8,9

のどれかをあてはめます。

 今の場合は  とすれば、「136+x」は「10」で割りきれます。

 こうして、「978488399331」 は「978488399331」 と分かりました。

 

 下の「19200301400」もやってみましょう。

かどうかはまだ分からないことにして、とします。

 19200301400 の下に、右から1と3をかわるがわる並べます。

     1 9 2 0 0 3 0 0 1 4 0 0  
     1 3 1 3 1 3 1 3 1 3 1 3 

 上と下をかけてたします。

    1×19×32×10×30×13×30×10×31×14×30×10×3x×1

  = 1+27+2+0+0+9+0+0+1+12+0+0+x

  =52+x

 ここで出てきた「52+x」が、「10」で割りきれるように、x

    0,1,2,3,4,5,6,7,8,9

のどれかをあてはめます。

 今の場合は  とすれば、「52+x」は「10」で割りきれます。

 こうして、「19200301400」 は「19200301400」 と分かりました。

 

 では、この数とバーコードの関係は、どうなっているのでしょうか。

 じつは、それはまるで暗号のように複雑なのです。

 それでは、続きはまた次回に!

 


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