鏡(かがみ)

● 鏡(かがみ) ●

 「かがみよ、かがみよ、かがみさん。
 この世で、いちばん美しいのはだあれ?」

 ごぞんじ、「白雪姫(しらゆきひめ)」ですね。

 たずねたあいてが、
家来(けらい)ではなくって、かがみだったというところが、
にくいですね〜。

 (わたしには、かがみにたずねるなんてストーリー、とても考えつかないな〜。
  あ〜あ、童話作家は、とてもむり。
  それならせめて、算数作家?
  それでは・・・)

 

 「かがみよ、かがみよ、かがみさん。
 この世で、いちばん美しいのはだあれ?」

 「正三角形さん、正三角形さん。
 三角形の世界では、
 正三角形のあなたさまが、もちろんいちばん美しい。
 でも・・・、平面図形の世界では、
 円はもっと美しい・・・!」

 

 


● 三角定規(じょうぎ) ●

 三角定規(さんかくじょうぎ)を知っていますか。

 

 そうそう、2つでセットになって売っている、
あの三角定規です。

 さて、この三角形は、どんな三角形でしょうか。

 もちろん、直角三角形です。

 では、直角三角形は直角三角形でも、
どんな直角三角形でしょうか。

 (a)は、直角三角形は直角三角形でも、

直角二等辺三角形

です。

 では、(b)は?
 (b)は、直角三角形は直角三角形でも、どんな直角三角形でしょうか。

 たった2つしかない、はえある(?)三角定規にえらばれたのですから、
ただの直角三角形のはずがありませんね。

 どんな直角三角形か、小学生なら、み〜んな知っています。

 ところが、中学生ともなると、なぜか 1:2:√3 の直角三角形・・・なんてね。
 ( もちろん、まちがってはいませんが・・・。)

 √3 は、  と  から、
三平方の定理(ピタゴラスの定理)をつかって、計算したのですよね。

 

     2 +x =  

     1 + x2 = 4 

         x2 = 4 − 1

         x2 = 3 

          x = √3   (x>0)

 

 では、そのまえに、1:2 の  と  はどこからでてきたの?

 それは、  というのは  を半分にしたものだったのです。

 

 つまり、(b)は、直角三角形は直角三角形でも、

正三角形の半分

の直角三角形だったのです。

 


● 3次元 ●

 さあ、この正三角形の半分の三角定規を
かがみにうつしてみましょう。

 

 ほら、ちゃ〜んと、もとの正三角形が・・・。

(b)が右手なら、(d)は左手

(b)が右足なら、(d)は左足

(b)があなたなら、(d)はかがみの中のあなた

 さあ、かがみの中の世界のはじまりはじまり。

 

 ところで、(b)の三角形と(d)の三角形は、

合同

です。

 合同(ごうどう)って?

 それは、ピッタリかさねあわせられるってこと。

 どうやって?
 どうやって、かがみの向こうの世界の図形とかさねあわせるの?
 ・・・な〜んて、考えこむ人なんて、だ〜れもいません。

 ひょいと図形をもち上げて、
くるりと回転(かいてん)させて、かさねるだけのことです。

 そう、3次元の世界の中で・・・。

 ノートの上の2次元の世界では、
もち上げたしゅんかんに、図形は消えてなくなり、
おいたしゅんかんに、あらあらふしぎ、あらふしぎ。
 なぜか左右がはんたいになった「そっくりさん」のとうじょうです。

 


● 4次元 ●

 2次元の世界では、
かがみは(1次元の)直線です。

 

 

 2次元の世界の中だけでは、
どうがんばっても、(b)を(d)にかさねあわせることなんてできません。

 

 

 3次元の世界では、
かがみは(2次元の)平面です。

 かがみのこちらの世界のあなたが、
かがみのあちらの世界のあなたとピッタリかさなるかって?

 3次元の世界の中だけでは、
どうがんばっても、むりってものです。

 でも、4次元の世界でなら・・・。

 

 


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