9でわったあまり

● 不思議な数「9」? ●

 こんなメールをいただきました。

 

 【123X987=121401】

    答えの 121401 は 1+2+1+4+0+1=9 となります。

 【321X789=253269】

    答えの 253269 は 2+5+3+2+6+9=27

          27 も 2+7=9       となります。

  このように 1,2,3 と 7,8,9 をどのような順番で掛けても
 同じようにすると、すべてとなります。

  理由を教えて下さい。

 

 まるで、数のマジックみたいですね。

 もちろん、きっとタネがあるのだろう・・・(するどい!)

 でも、

      1,2,3 も 7,8,9 も、続いた数だからかな?

      1,2,3 も 7,8,9 も3個なので、3個が関係してくるのかな?

・・・なんて、考えてしまったら、

 そう、あなたはマジシャンの思うつぼです。(ひっかかってはいけません!)

 マジシャンは、ショーのみばえが大事ですから、
さりげなく続いた数を使ったり、3けたにそろえてみただけなのです。

 じつは、3けたなんてど〜でもよくって、
123
X987=121401 のかわりに

1023X789=1009701】

    答えの 1009701 は 1+0+0+9+7+0+1=18

          18 も 1+8=9       としてもいいのです。

 

なんなら、123X987=121401 のかわりに、
123の 23 を 2+3=5 ということで、5 におきかえて

【15X789=11835】

    答えの 11835 は 1+1+8+3+5=18

          18 も 1+8=9       としてもいいのです。

 

もひとつおまけに、今度は 123X987 の 87 を
たして 8+7=15 , 1+5=6 ということで 6 におきかえて

【123X96=11808】

    答えの 11808 は 1+1+8+0+8=18

          18 も 1+8=9       としてもいいのです。

 

ますます、マジシャンにだまされそうだって?

そんなことはありません。

あっさり 123X987 の 123 も 987 もおきかえると、

  123 を 1+2+3=6 
  987 を 9+8+7=24 ,2+4=6

ということで、どちらも6におきかえると、
123X987 は 6×6=36 , 3+6=9 となるのです。

 

・・・ということですが、いったいこれは何を計算しているのでしょうか。

 


● おまけ ●

 何を計算しているかのタネあかしの前に、ちょっとより道です。

 じつは、タネさえ知っていれば、「」でなくても、いろいろな数にすることができるのです。

 もちろん、なにも3けたでなくてもいいのですが、せっかくですから・・・

 

< 「1」 >

 それでは、「」にしてみましょう。

 たとえば 1,2,8 と 3,5,6 を使います。

 ほかにも 2,3,6 と 1,5,8 だっていいのです。

 もちろん 5,6,9 と 2,4,8 だってかまいません。

 おわかりですね。

 1,2,8 も 2,3,6 も 5,6,9 も

     128 は 1+2+8=11 , 1+1=2
     236 は 2+3+6=11 , 1+1=2
     569 は 5+6+9=20 , 2+0=2

  3,5,6 も 1,5,8 も 2,4,8 も

     356 は 3+5+6=14 , 1+4=5
     158 は 1+5+8=14 , 1+4=5
     248 は 2+4+8=14 , 1+4=5

 ですから、 2×5=10 , 1+0=1 にするつもりなのです。

 もちろん、 1×11 というふうにしたかったら、
たとえば、1,2,7 と 4,6,9 とすればいいですね。

     127 は 1+2+7=10 , 1+0=1
     469 は 4+6+9=19 , 1+9=10 ,1+0=1

となりますからね。

・・・と、長いまえおきになりましたが、やってみましょう。

【128X356=45568】

    答えの 45568 は 4+5+5+6+8=28

         28 は 2+8=10

         10 は 1+0=1  となります。

【812X536=435232】

    答えの 435232 は 4+3+5+2+3+2=19

         19 は 1+9=10

         10 は 1+0=1  となります。

 ほかにも、ためしてみてください。

 

< 「2」 >

 それでは、「」にしてみましょう。

1×22 ということで、たとえば
1,2,7 と 3,8,9 を使います。

【127X389=49403】

    答えの 49403 は 4+9+4+0+3=20

         20 は 2+0=2

【271X398=107858】

    答えの 107858 は 1+0+7+8+5+8=29

         29 は 2+9=11

         11 は 1+1=2  となります。

 ほかにも、ためしてみてください。

 

< 「3」 >

それでは、「」にしてみましょう。

 1×33 ということで、たとえば
 1,2,7 と 3,4,5 を使います。

【127X345=43815】

    答えの 43815 は 4+3+8+1+5=21

         21 は 2+1=3  となります。

ほかにも、ためしてみてください。

 

< 「4」 >

それでは、「」にしてみましょう。

1×44 ということで、たとえば
1,2,7 と 5,8,9 を使います。

もちろん 2×24 ということで、さきほどでてきた
1,2,8 と 5,6,9 を使ってもいいですね。

【127X589=74803】

    答えの 74803 は 7+4+8+0+3=22

         22 は 2+2=4  となります。

ほかにも、ためしてみてください。

 

< 「5」 >

それでは、「」にしてみましょう。

1×55 ということで、たとえば
1,2,7 と 3,5,6 を使います。

【127X356=45212】

    答えの 45212 は 4+5+2+1+2=14

         14 は 1+4=5  となります。

ほかにも、ためしてみてください。

 

< 「6」 >

それでは、「」にしてみましょう。

2×36 ということで、たとえば
1,2,8 と 3,4,5 を使います。

もちろん 1×66 ということで、たとえば
1,2,7 と 3,4,8 を使ってもいいですね。

【128X345=44160】

    答えの 44160 は 4+4+1+6+0=15

         15 は 1+5=6  となります。

ほかにも、ためしてみてください。

 

< 「7」 >

それでは、「」にしてみましょう。

1×77 ということで、たとえば
1,3,6 と 4,5,7 を使います。

【136X457=62152】

    答えの 62152 は 6+2+1+5+2=16

         16 は 1+6=7  となります。

ほかにも、ためしてみてください。

 

< 「8」 >

それでは、「」にしてみましょう。

2×48 ということで、たとえば
3,8,9 と 2,5,6 を使います。

もちろん 1×88 ということで、たとえば
1,2,7 と 3,6,8 を使ってもいいですね。

【389X256=99584】

    答えの 99584 は 9+9+5+8+4=35

         35 は 3+5=8  となります。

ほかにも、ためしてみてください。

 

< 「9」 >

それでは、「」にしてみましょう。

あっ、そうそう、これがもともとの質問でしたね。

ということで、パス!

 

< 「10」 >

それでは、「10」にしてみましょう・・・なんて、いいません。

だって、10 は 1+0=1 ですからね。

ということで、ふりだしにもどって、おしまい!

 


● mod 9 ●

おつかれさまでした。

ここまでやっていうのも何ですが・・・
こんな計算をいくらやっても、さんすう・数学というよりは、パズルですね。

話をもとにもどすと、各位をどんどんたし算していってもとめたものは、
いったい何なのでしょうか・・・ということでした。

それはズバリ、9でわったときの「あまり」です。

9でわったときのあまりは、

     「0」,「1」,「2」,「3」,「4」,「5」,「6」,「7」,「8」

の9通りですが、これをもとめる便利(べんり)な方法が、いままでやってきたものなのです。

たとえば、123÷9 のあまりは

     123÷9=13・・・

ということで、あまりは「6」です。

このあまりの「6」が、いままでやってきたように

     123 は 1+2+3=

というように、かんたん出てくるのです。

ですから、123の順番(じゅんばん)を入れかえても

     123÷9
     132÷9
     213÷9
     231÷9
     312÷9
     321÷9

のあまりは、ぜんぶ同じで「6」になります。

 

さて、ではどうして123÷9 のあまりが

     1+2+3=

というように、かんたん出てくるのでしょうか。

これを、123個のお菓子(かし)を9人で分けるときで考えてみましょう。

まず、123個のお菓子を

    123=100+20+3

       =×100+×10+×1

100個の皿つ と 10個の皿つ と 1個の皿つ とにわけます。

「あまり」が問題なので、いくつもらえるかは気にしないというのがミソですよ。

ですから、わけられる分はどけてしまうといいのです。

     9人でわけるのですから、9×11=99 はどけておきます。
     9人でわけるのですから、9×1=9 はどけておきます。

そうすると、

     100個の皿からは99個をどけて、
      10個の皿からは 9個をどけることになります。

そうしておいて、のこりを9人で分けたときのあまりを考えるのです。

     100個の皿にはまだ個のこっていて、これが
      10個の皿にはまだ個のこっていて、これが
       1個の皿はそのまま個で、これが

つまり あわせて =6個 のお菓子を分けることになります。

いまは、6個となって、
分ける人数の9人より少なくなったので、これが「あまり」です。

でも、もしまだ分けられるようでしたら、
めんどうでも、もう一度皿にのせて考えればいいのです。

 

えっ、いま問題になっているのは、123X987であって、
片方(かたほう)だけの 123 ではないって?

いいんです!

123×987を9でわった余りを考えればいいだけです。

     123 を 9でわったあまりは 1+2+3=
     987 を 9でわったあまりは 9+8+7=24 , 2+4=

となって、どちらも 6あまります。

     123×987={(わりきれる)+}×{(わりきれる)+

これを9でわったあまりを考えるのですが、
なんてったって、わりきれるものは、これを何倍したってわりきれるのですから、
どけてしまえばいいのです。

(展開すると)けっきょく、×=36 を 考えればよいことになり、
3+6= となります。

えっ、9個あまるのなら、もう1個ずつ分けて、あまりは「0」だって?

そうですね。あまりは「0」です。

じつは、このやり方では、1けたということで
「1」から「8」までは、バッチリあまりそのものが出てきますが、
わりきれるとき、つまり、あまりが「0」のときだけは「」と出てきてしまうのです。

 


HOME(もどる)

掲載内容の無断転載、転用、編集を禁じます。(c) 小林吹代
All Rights Reserved, (c)kobayashi fukiyo , 2001