別解(中学入試問題)

● アメリカより ●

 松島宏和様から中学入試問題の別解が寄せられました。

 何と、現在家族とともに米国に在住しておられるそうです。

 小学校4年生の子を持つ父親だそうですが、さすがインターネットと実感しました。

 さて、その中学入試問題というのは、次のものです。

 

   1   2    3
  ----+----+---- = 1
   a    b     c

  ただし、a、b、cは自然数。

  bは奇数で、cは3の倍数ではない。

 

 前々回のホームページでは、次の解を見つけました。

     1    2    3
(1)  ----+----+---- = 1
     2     7    14

     1    2    3
(2)  ----+----+---- = 1
    30    3    10

     1    2    3
(3)  ----+----+---- = 1
    36    9     4

 

 そして、このホームページでは次のことを問題にしていました。

     これ以外に解があるのでしょうか?

     こういう問題は小学生はどうやって解くのでしょうか?

 

 


● 松島宏和様の解答 ●

 松島宏和様は、石田透様の解答を賞賛していましたが、

「a-1 は 3 で割り切れない」という事実に(小学生でなくても?)なかなか気づけないと指摘していました。

 そして、以下が「多少小学生らしいのでは」と提案されています。

(多少、文面を変えてあります。よろしくご了承ください。)

 

 
 まず、石田様の解法の通り変形します。

 1/a + 2/b + 3/c = 1 を変形すると

     a(2c+3b) = (a-1)bc

 となります。 

 2c+3b は、2 でも 3 でも割り切れないので、a は偶数となります。 (そうでないと、左辺と右辺で矛盾する。)

 そして a が偶数なので c も偶数になります。

 ここから、

     a は偶数、bは奇数、c は偶数で3の倍数ではない、

という条件をもとに、a, b, c,のとりうる値を小さい方から列挙します。

  a = 2, (4), 6, 8, (10), 12,…(4,10…はa-1が3で割り切れないという条件を入れると除外される)

  b = 3, 5, 7, 9, 11,…

  c = 4, 8, 10, 14, 16,…

となります。

 ここから「しらみつぶし方式」で解を探ります。

   その1 : a=2の場合  →  b=7, c=14 の1通り

   その2 : b=3の場合  →  a=30, c=10 の1通り

   その3 : c=4の場合  →  a=36, b=9 の1通り

   その4 : (ここから「a-1が3で割り切れない」条件の有無によって解法が異なります)

     ・条件ありのケース

         a=6の場合 (b=5, あるいはc=8と設定しても結果は同じ)

           b, c, のとりうる最小の値は上記より b=5, c=8となるが、

          (b=3, あるいはc=4のケースは実施済みゆえ検証不要)

          これを代入すると

              1/6 + 2/5 + 3/8 = (20+48+45)/120 = 113/120 < 1

          すなわち、a, b, c, にそれぞれ6以上、5以上、8以上のどのような値を代入しても

          1より小さくなってしまう。

          したがって、等式を満たす値は上記のその1〜その3以外にはない。



    ・条件なしのケース

         a=4の場合 

          b, c, のとりうる最小の値は上記より b=5, c=8となるが、

          (b=3, あるいはc=4のケースは実施済みゆえ検証不要)

          これを代入すると

             1/4 + 2/5 + 3/8 = 41/40 > 1  (該当せず)

          次に、2番目に小さいb=7 (cは8のまま)を代入すると

             1/4 + 2/7 + 3/8 = 51/56 < 1

          よって、bをこれ以上大きくしても該当ナシであることが判明。

          さらに、bは5のままで、cを2番目に小さい10で代入すると

            1/4 + 2/5 + 3/10 = 19/20 < 1

          よって、cをこれ以上大きくしても該当ナシであることが判明。


          以上で、a=4の場合に該当ナシが確定



  その5 : b=5の場合 

     上記・「条件あり」のケースと全く同じ論理で、以降のケースでは等式を満たす値はない。

    したがって、等式を満たす値は上記のその1〜その3以外にはない。(解答以上)

 

 

 さて、あくまでも私自身の問題ですが、松島様ではなく石田透様の解答を拝見した段階で、

すぐに自分の問題に対する取り組み方を反省しました。

 さまざまなテクニックよりも、まず考えるべきは、問題に対する大まかな見通しだったのです。

 1/a も 2/b も 3/c も、 a やb やc が大きくなると、どれも(非常に)小さくなるということに気づくべきでした。

 その(非常に)小さいものを3個たすと、(大きな?) 1 になるという段階で、可能性は限られてくるのです。

 つまり、松島様のような「しらみつぶし方式」が可能なのです。

 a とb とc のどれかが小さい場合からやっていく のは当然のことです。

 それは、1/a や 2/b や 3/c の中にそこそこ大きなものが1つでもあれば、

残りの(非常に)小さいものと合わせて1になる可能性が残されているということなのです。

 純粋に小学生向きなら、a が偶数や c が偶数にも気づかないとして、

bは奇数で、cは3の倍数ではないことから順に見ていくしかないのかもしれません。

 あくまでも、a とb とc を平等に順繰りに見て、小さい場合からやっていくようにして・・・・・・。

 

 


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