大学入試問題 |
● 今度は大学入試問題 ●
久しぶりに(嫌みではないですよ!)数研出版の方から『数研通信』を頂きました。
正直なところ、昔よく頂いていた頃は「そのうち・・・・・・」と思いながら、そのまま本立てに直行したものです。
もっとも、「そのうち・・・・・・」なる日は、永遠に訪れないのが常でしたが。(せっかく頂きながら、スミマセン!)
ところが、本当に久しぶりだったので、パラッパラッと開いてみる気になりました。
で、目にとまったのが次のページです。
1 1 1 1 1 ----+----+----+----+---- < 1 を満たす自然数a、b、c、d、eに対して a b c d e 1 1 1 1 1 柳田 五夫 |
紹介されていたのは次の入試問題で、
柳田先生はさらに上記タイトルのように(上記のタイトル以外にも)拡張して考察されていました。
(そのうち数研出版のホームページにアップされると思いますので、興味があったら見てみてください。)
1 1 (1) a、b を a<b 、----+---- < 1 を満たす自然数とするとき、 a b 1 1 5 1 1 1 1 1 1 41 [06 富山大] |
● 小学生向きに ●
ここからは『数研通信』とは無関係ですので、(いつものように?)まちがい等が見つかりましても
数研出版には問い合わせないようにお願いいたします。(営業妨害になってしまいますので・・・・・・)
(もちろん、これから書くことは、柳田先生にも何の責任もありません。)
さて、さすがに「証明」となると、小学生には無理ですね。
それでは、この大学入試問題 を 中学入試問題(?)にアレンジしてみることにしましょう。
とはいっても、単に「証明せよ」を「いくらですか」に変えるだけのことですが・・・・・・。
ただし、小学生向きに○、△、□に直すのも面倒なので、このままa、b、c を用いることにします。
1 1 (1) a、b を a<b 、----+---- < 1 を満たす自然数とするとき、 a b 1 1 1 1 1 1 1 1
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正直言って、このホームページで紹介した「中学入試問題」よりも簡単ですね。
反比例ですから、分母が小さいほど大きくなることは小学生でも知っています。
(1)
一番小さい自然数ということで a=1とすると、条件をみたしません。そこで、a=2 とすることになります。
問題は、「bはいくらにすればよいか」というだけのことです。
1 1
そのbも、a=2 と条件 ----+---- < 1
a b
からすぐに求まります。
1 1
---- < ----
b 2
をみたすa=2より大きな一番小さい自然数となると、b=3です。
1 1 1 1 5
----+---- の最大値は、----+---- =---- です。
a b 2 3 6
(2)
続けてやっていきます。
a=1と b=2までは確定したので、
問題は、「cはいくらにすればよいか」というだけのことです。
1 1 1
そのc も、 a=1と b=2 と ----+---- +---- < 1
a b c
つまり、
5 1 1 5
----+---- < 1 つまり ---- < 1− ----
6 c c 6
からすぐに求まります。
上の不等式をみたすb=3より大きな一番小さい自然数となると、c=7です。
1 1 1 5 1 41
----+----+---- の最大値は、----+---- =---- です。
a b c 6 7 42
● この先は(?) ●
5/6 や 41/42 の分母と分子を見比べると、分子が分母より1だけ小さいことに気付きます。
そこで、ここから先は(n−1)/n の次が何になるのかを見てみることにしましょう。
1 1 1 1 n−1
たとえば、 ----+----+----+----の最大値が------ だったとして、
a b c d n
次に「eはいくらにすればよいか」と考えるのです。
つまり、
n−1 1 1 n−1
------+---- < 1 つまり ---- < 1− ------
n e e n
を満たす(dより大きな一番小さい)自然数eを求めます。
1 1
---- < ----
e n
これからe=n+1 と分かります。
n−1 1 n2−1+n (n2+n)−1
最大値は ------ +------= ----------- = ---------- となります。
n n+1 n(n+1) (n2+n)
つまり、次も分子が分母より1だけ小さくなるのです。
こうなると、最初の5/6から次々に最大値が求まってきます。
では、やってみましょう!
【 5/6 の次は?】
(n2+n)−1
5/6 の次は、n=6 を --------------- に代入します。
(n2+n)
n=6のとき、 n2+n=36+6=42となり、次の最大値は 41/42 と分かります。
【 41/42 の次は?】
(n2+n)−1
41/42 の次は、n=42 を --------------- に代入します。
(n2+n)
n=42のとき、 n2+n=1764+42=1806となり、次の最大値は 1805/1806 と分かります。
【 1805/1806 の次は?】
(n2+n)−1
1805/1806 の次は、n=1806 を --------------- に代入します。
(n2+n)
n=1806のとき、 n2+n=3261636+1806=3263442となり、次の最大値は 3263441/3263442 と分かります。
● 証明は? ●
さて、大学入試問題ともなると、キッチリした証明を求められてもいたしかたありません。
そのキッチリした証明は、最初に紹介させていただいた『数研通信』に柳田先生が載せられています。
そのうち数研出版のホームページにアップされると思いますので、興味があったら見てみてください。
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小林吹代
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