大学入試問題

● 今度は大学入試問題 ●

 久しぶりに(嫌みではないですよ!)数研出版の方から『数研通信』を頂きました。

 正直なところ、昔よく頂いていた頃は「そのうち・・・・・・」と思いながら、そのまま本立てに直行したものです。

 もっとも、「そのうち・・・・・・」なる日は、永遠に訪れないのが常でしたが。(せっかく頂きながら、スミマセン!)

 ところが、本当に久しぶりだったので、パラッパラッと開いてみる気になりました。

 で、目にとまったのが次のページです。

 

   1   1    1    1    1
  ----+----+----+----+---- < 1 を満たす自然数a、b、c、d、eに対して
   a    b     c    d    e

   1   1    1    1    1
  ----+----+----+----+---- の最大値について
   a    b     c    d    e    

 柳田 五夫
 『数研通信』No.66 (p10〜p13)

 紹介されていたのは次の入試問題で、
柳田先生はさらに上記タイトルのように(上記のタイトル以外にも)拡張して考察されていました。

 (そのうち数研出版のホームページにアップされると思いますので、興味があったら見てみてください。)

               1    1
(1)  a、b を a<b 、----+---- < 1  を満たす自然数とするとき、
                  a    b

     1    1            5
   ----+---- の最大値が ---- であることを証明せよ。
     a     b           6 

                    1    1    1
(2)  a、b、c を a<b<c 、----+---- +---- < 1  を満たす自然数とするとき、
                       a    b    c

     1    1    1           41
   ----+----+---- の最大値が ---- であることを証明せよ。
     a    b   c            42 

                                                    [06 富山大]

 


● 小学生向きに ●

  ここからは『数研通信』とは無関係ですので、(いつものように?)まちがい等が見つかりましても

数研出版には問い合わせないようにお願いいたします。(営業妨害になってしまいますので・・・・・・)

 (もちろん、これから書くことは、柳田先生にも何の責任もありません。)

  さて、さすがに「証明」となると、小学生には無理ですね。

  それでは、この大学入試問題 中学入試問題(?)にアレンジしてみることにしましょう。

  とはいっても、単に「証明せよ」を「いくらですか」に変えるだけのことですが・・・・・・。

  ただし、小学生向きに○、△、□に直すのも面倒なので、このままa、b、c を用いることにします。

                1    1
(1)  a、b を a<b 、----+---- < 1  を満たす自然数とするとき、
                  a    b

     1    1  
   ----+---- の最大値はいくらですか。
     a     b   

                    1    1    1
(2)  a、b、c を a<b<c 、----+---- +---- < 1  を満たす自然数とするとき、
                       a    b    c

     1    1    1 
   ----+----+---- の最大値はいくらですか。
     a    b   c   

 

 正直言って、このホームページで紹介した「中学入試問題」よりも簡単ですね。

 反比例ですから、分母が小さいほど大きくなることは小学生でも知っています。


 (1)

 一番小さい自然数ということで a=1とすると、条件をみたしません。そこで、a=2 とすることになります。

 問題は、「bはいくらにすればよいか」というだけのことです。

                 1    1
 そのbも、a=2 と条件 ----+---- < 1
                 a    b 

 からすぐに求まります。

   1      1
  ---- < ----
   b      2

をみたすa=2より大きな一番小さい自然数となると、b=3です。

     1    1            1    1    5
   ----+---- の最大値は、----+---- =---- です。
     a     b             2     3    6


(2)    

 続けてやっていきます。

  a=1と b=2までは確定したので、

 問題は、「cはいくらにすればよいか」というだけのことです。

                      1    1     1
 そのc も、  a=1と b=2 と ----+---- +---- < 1
                      a    b    c

 つまり、

   5    1              1          5
  ----+---- < 1   つまり ---- < 1− ----
   6    c              c          6

からすぐに求まります。

 上の不等式をみたすb=3より大きな一番小さい自然数となると、c=7です。

     1    1   1            5    1     41
   ----+----+---- の最大値は、----+---- =---- です。
     a     b    c            6     7    42

 


● この先は(?) ●

 5/6 や 41/42 の分母と分子を見比べると、分子が分母より1だけ小さいことに気付きます。

 そこで、ここから先は(n−1)/n の次が何になるのかを見てみることにしましょう。

           1   1    1    1          n−1
  たとえば、 ----+----+----+----の最大値が------ だったとして、
           a    b     c    d         n

次に「eはいくらにすればよいか」と考えるのです。

 つまり、

  n−1    1              1          n−1
  ------+---- < 1   つまり ---- < 1− ------ 
   n     e               e          n

を満たす(dより大きな一番小さい)自然数eを求めます。

   1      1
  ---- < ----
   e      n

 これからe=n+1 と分かります。

        n−1     1     n−1+n    (n+n)−1
最大値は ------ +------= ----------- = ---------- となります。
         n     n+1    n(n+1)       (n+n)

 つまり、次も分子が分母より1だけ小さくなるのです。

 こうなると、最初の5/6から次々に最大値が求まってきます。

 では、やってみましょう!

【 5/6 の次は?】

                  (n+n)−1
5/6 の次は、n=6 を --------------- に代入します。
                    (n+n)

n=6のとき、 n+n=36+6=42となり、次の最大値は 41/42 と分かります。

【 41/42 の次は?】

                    (n+n)−1
41/42 の次は、n=42 を --------------- に代入します。
                     (n+n)

n=42のとき、 n+n=1764+42=1806となり、次の最大値は 1805/1806 と分かります。

【 1805/1806 の次は?】

                          (n+n)−1
1805/1806 の次は、n=1806 を --------------- に代入します。
                            (n+n)

n=1806のとき、 n+n=3261636+1806=3263442となり、次の最大値は 3263441/3263442 と分かります。


● 証明は? ●

 さて、大学入試問題ともなると、キッチリした証明を求められてもいたしかたありません。

 そのキッチリした証明は、最初に紹介させていただいた『数研通信』に柳田先生が載せられています。

 そのうち数研出版のホームページにアップされると思いますので、興味があったら見てみてください。


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