質問(フィボナッチ数)

● フィボナッチ数 ●

 こんなメールをいただきました。

 
 

 僕は大学1年です。数学の証明問題で

 Un+2=Un+1+U  、 U1=U2=1 のとき

          Un+1     1+√5
     lim -------- = --------
     n→∞  U      2

 となることを証明せよというのです。

 いろんなホームページを見ても、証明法に黄金比が出てきて、
 習ってないので使えません。

 高校の知識で証明できる(漸化式による方法など)はないんでしょうか?

 

 

 大学1年なら、線形代数を学んでいるところでしょうね。

 このホームページでしょうかいした方法(ほうほう)は、
何も使っていないといいながら、じつは線形代数によるものです。

 今回は、ご希望(きぼう)どおり、
高校でお勉強する、漸化式(ぜんかしき)による方法(?)
でやってみましょう。

 さて、問題にある数列

     Un+2=Un+1+U  、 U1=U2=1 

は、フィボナッチ数(列)とよばれているものです。

     11 

     21 

     3=U2+U=1+1=

     4=U3+U2=2+1=

     5=U4+U3=3+2=

     6=U5+U4=5+3=

     7=U6+U5=8+5=13

     ・・・・・・

 つまり、フィボナッチ数というのは、こんな数でした。

     1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,・・・

 さて、ここで、

          Un+1     1+√5
     lim -------- = --------
     n→∞  U      2

 

となることが問題ですが、その前に

               1
      = ----( α − β )
          √5

 ここで、
             1+√5         1−√5
       α = --------  , β = --------
          2          2

となることをみてみます。

 すでに、このホームページでも(中学生向きに?)やりましたが、
今回は、高校生向きにやってみようということです。

 


● 数列 ●

 高校でお勉強する数列というのは、おもに

     等差数列(とうさすうれつ) と 等比数列(とうひすうれつ)

です。

 そこで、問題の数列

     Un+2=Un+1+U  ・・・ (1)

     U1=U2=1 

を変形して、等差数列や等比数列にしてしまうのです。

 つまり、

     n+2−αUn+1 = β(n+1−αU) ・・・ (2)

の形に変形するのです。

 ここで、αとβをどんな数にしたらよいかみてみます。

 (今のところ、さっきのαやβになるというほしょうはありません。)

 (2)から、

     n+2−αUn+1 = βn+1−αβU 

            n+2 =(α+β)Un+1−αβU ・・・ (3)

 (1)と(3)をくらべて、

     α+β=1  , αβ=−1  ・・・ (4)

 さて、(4)をみたすαとβをもとめて、(1)を(2)の形に変形するのですが、

 (4)をみたすαとβは、次の二次方程式の解です。

     t−t−1=0  ・・・ (5)

 そこで、解の公式を用いて(5)の解をもとめると、

      1+1+4       1−1+4   
    t=------------   , ------------   
        2              2

    = α , β

 ここで、αとβは、めでたく(?)さいしょのαとβとわかりました。

 さて、どちらがαでどちらがβでもいいですから、
(1)は次のように、2通りに(2)の形に変形できます。

     n+2−αUn+1 = β(n+1−αU) ・・・ (6)

     n+2−βUn+1 = α(n+1−βU) ・・・ (7)

 ここで、αとβは、はれてめでたく(?)

             1+√5         1−√5
       α = --------  , β = --------
          2          2

です。

 等比数列の一般項の公式から、(6)より、

       n+1−αU=(2−αU1βn-1  

           =(1−α)βn-1  

           =β  

 つまり、

     Un+1−αUβ  ・・・ (8)

 

 同じようにして、(7)より

     Un+1−βUα  ・・・ (9)

 さて、(8)と(9)から、Un+1消去(しょうきょ)します。

 

     Un+1−βUα  ・・・ (9)
   −)U
n+1−αUβ  ・・・ (8)
    ---------------------
    (
−β+α)Uα−β  

                   α−β     α−β 
              =------------- = -----------
                   α−β       √5

 さあ、これで一般項が

               1
     U = ----( α − β )
          √5

とでましたね。

 


● 極限値 ●

 では、いよいよ

          Un+1 
     lim -------- 
     n→∞  U 

をもとめてみましょう。

 さて、 がわかりましたから、

               1
     Un+1 = ----( αn+1 − βn+1 )
          √5

 

               1
     U = ----( α − β )
          √5

 これから、

        n+1   αn+1 − βn+1 
       -------- = ------------------
            α − β 

となります。

 では、いよいよ、やってみましょう。

          Un+1 
     lim -------- 
     n→∞  U 

 

          αn+1 − βn+1 
     = lim  ------------------
        n→∞  α − β 

 

 ( ここで、分子も分母も α  でわります。 )

 

          α − β(β/α) 
     = lim  ------------------
        n→∞  1 − (β/α) 

 

   = α

 ( n  ∞ のとき (β/α) → 0 となるからです。)

 

 これで、

          Un+1     1+√5
     lim -------- = --------
     n→∞  U      2

がでてきましたね。

 

 


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